セバスのホテル編
セバスの商談と出張
セバスはツアレと共に、ナザリックで製作をした商品の商談の為、異国に来ていた。
「デミウルゴスが作った捕虜用のアイテムを私が営業に行くなんて、気にかかる点はありますが仕事なので、なんとか・・・割り切りましょうか・・・」
セバスはツアレの事もあり、商売で捕虜のアイテムを扱うことに対して渋っていたのだが、会議でアインズ様やデミウルゴスから言われて渋々、商売の為の出張を承諾した。
何故ツアレが付いてきているのかというと・・・・
このアイテムは人間に対して反応するよう出来ているのでセバスだけでは、商談時に作動しない可能性が高いためだ。
「むう・・・ツアレに捕虜用のアイテムを操作させるなんてしたくありませんが・・・商談の成功はアインズ様も願っているはず・・・ツアレに触らせるのは最後の手段にしましょう・・・」
________________「いやあ~セバスさんは面白い人ですなあ~!!!がはははは!!」
セバスは商談先の貴族出身で恰幅の良い中年の男性と、屋敷内で話していた。
その屋敷は異国の地のとある旧貴族が建設しただけあって、豪華絢爛だった。
この中年男性は、とある戦争で財を築き大金持ちらしい。
セバスと同じ部屋の椅子に座っているツアレは、この屋敷の雰囲気が苦手らしく、ずっと固い表情だった。
(ここはあの屋敷みたいに嫌な感じがする・・・早く帰りたいです・・・)
そしてセバスは笑っている男性の話を軽く流しつつ、商品の説明を始める準備をする。
その商品は、首輪型で赤いランプが点滅していてとても怪しい。
(首輪さん、スイッチを入れて作動してくださいね〜ツアレに触らせたくないので・・・)
セバスは祈りながら首輪の遠隔操作のリモコンのスイッチを入れる
カチっと電源が入り、キュイーンと作動音がして、首輪が作動し始めた。
「この赤いランプの点滅が作動し始めた合図になります」
セバスが話す。
「・・・・・そして、この商品は捕まえた捕虜の健康維持に役に立つ首輪だそうです。見た目はいかにも処罰目的の首輪に見えますが、そのような機能は一切無く、人間の身体機能を調べるセンサーが備わっているのみです。
このセンサーを通じて捕虜の国の、兵士の身体レベルや滋養強壮剤は何を使用しているかを判断できるので、
戦いが続いている間も敵の兵士対策を並立して行うことが出来ます」
セバスが話し終わると、男性はまたゲラゲラと笑った。
「捕虜なのに、健康管理ですか?がはははは!面白い!痛めつけたり自白させたりするだけが、捕虜の利用価値ではないと!・・・ふむ新しいですな!!!がははは!気に入った!!」
「気に入って頂けて何よりです。何かこの商品について質問などございますか?」
セバスは話す。
「ん~、セバスさん・・・私は管理より痛めつける事に興味があってなあ・・・これにセンサー以外の設備は付けられるのかな?例えば・・言う事を聞かない人間に対して電流を流すとか?」
へらへらした状態で話す中年男性。
たぶん一般的な人間なら全員が全員、軽蔑するであろう態度だった。
ツアレ(この人嫌い・・・世の中セバス様みたいな方が増えればいいのに・・・)
「私は今回は営業を担当しておりますが、設計者ではございませんので・・・設計者と今後話し合って頂く事をお勧めいたします」
セバスは内心軽蔑する気持ちで、質問に答えた。
(人間でもデミウルゴスのような考え方の存在はいらっしゃるのですね・・・なんだか気分が悪いですね・・・)
「そして、セバスさんのおつきの女性・・・なかなか美人ですなあ。髪の毛もつやつやで肌もプリっとしてて、触ると柔らかそうで・・セバス様が羨ましい・・・がはははは!これは失敬!がはははは!」
中年の男性は商談開始から、ツアレが気になっていたようだった。
「褒めて頂きありがとうございます。こちらのメイドは私がお仕えしているお屋敷でも高評価を頂いており、自慢のメイドでございます」
とりあえずセバスはお礼を言った。
(ツアレを狙うようであれば、商談先の方でも容赦はしませんが・・・)
_______そしてセバスと男性の商談はまた次回という事で、終わった。
「セバス様、この度の商談は面白かったですぞ!!がはははは!
・・・そのお礼と言っては何だが・・・私のおススメの高級宿を二部屋、予約しておきましたぞ~。まだ宿泊先は決めていらっしゃらないと伺いましてな・・・・
料金は私が出したのでお気になさらず。がはははは!」
中年の男性はとても陽気に笑っていた。
セバスは商談後はゲートを使用し帰れば良かったのだが、今後この中年の人間が役に立つかもしれないので、
中年男性のおせっかいをとりあえず受け取ることにした。
「それはありがとうございます。この度は何かと忙しく宿を決められていなかったので助かります・・・」
_________「で、セバスさん、今夜おススメの飯屋があるので一緒に行かないかい?」
「そうですね・・・夕ご飯ぐらいなら良いでしょう・・・」
「そこにいるお嬢さんも一緒に連れてきてくれると嬉しいのだが・・・」
金持ちの中年男性は、怪しい目つきでツアレを見た。
「こちらの女性は慣れない旅で、お疲れの様子なので休ませます。せっかくのお誘いなのですが私一人でお願い致します」
セバスはツアレを連れていくことはきっぱりと断り、仕事の為のお酒の付き合いをすることにした。
(アインズ様がこの商談の前に教えてくださいました。商談の後の夕食と酒の付き合いは大事だ!そこから仕事の繋がりが生まれると・・・・)
そして、セバスと男性は後で集合することになり、いったん解散をした。
中年男性からもらった地図を頼りに、街中にある高級の宿に向かって歩くツアレとセバス。
「先ほどの男性・・・なんだか苦手でした・・・」
ツアレは結局、椅子に座っているだけだったが、緊張感と嫌悪感で疲れたようだった。
「そうですね・・・私も疲れました・・しかしツアレ、街中で商談先の方の話をするとは・・いけませんね・・・誰かが付いてきてる可能性もありますよ?」
セバスは地図で口元を隠し、周りから何を話しているか分からないようにした。
「も、申し訳ありません、セバス様。以後気をつけます」
ツアレはシュンとして反省をした。
「いえいえ、私が事前に教えなかったのが悪いのです。私が商談先の方との夕飯が終わりましたら、宿屋でツアレのお話をゆっくりお聞きしますよ」
先ほどの商談の時の凛とした顔から、にっこり微笑むセバス。
(セバス様、やっぱりかっこいい~!!私の中の一番です~!!)
ツアレの頭の中は疲れの為か、おかしくなっていた。
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