自動人形(オートマトン)
美少女は謝ると、お詫びに地下の工場を見せてくれた。
「セバス様にここまで話したら、一緒に工場もお見せしたいです!!}
_____「いろいろな仕掛けがあって驚きましたよ。こんな小さな建物の地下に、大きな洋服工場があるなんて・・・」
セバスは、さっきまでおばあさんだった美少女に、工場内を案内してもらっていた。
「この工場では、魔法の効果のある服をほとんど自動で作っています。
ただ自動でも、私だけでは手が足りないので、自動人形(オートマトン)を自作をして、手伝ってもらっています」
工場内には、仮装した少女型が多くいて、ウサギやくまなどの可愛らしいメイドの格好をした、数十体の自動人形(オートマトン)がせっせと働いていた。
「私はこの自動人形達(オートマトン)が大好きで、家族だと思っています。人間の友達や仲間にはずっと会っていませんが、寂しくないです。今が一番幸せです!」
工場の事をべらべらと流暢に話す彼女は、本当に先程の不幸なおばあさんだったのかと思うぐらい、幸せそうにキラキラと顔が輝いていた。
「ひとつ質問なのですが、売るのはやめたと仰っていましたよね。しかし、こんな大きな工場があるという事は、今はどなたと取引をしているのでしょうか?私もあなたが作った服が欲しくなりました。もし宜しければ、どこで手に入るか教えて頂けませんか?」
自動人形(オートマトン)よりも、服工場の機械を熱心に見ていたセバスが聞いた。
(アンデッド以外にも、ツアレにも着用させて更に安全を確保したいですね)
________喉から手が出るほど欲しい場合は、こちらの欲しい焦りを見せないほうが良い、むしろ欲しくないような態度で_______
(前にアインズ様が取引の時はそうした方が良いと教えてくださいましたが、ツアレにもと思ったら、焦ってすぐ聞いてしまいました・・・私は甘いですかね、アインズ様)
セバスがツアレの為にあれやこれやと考えているとき、少女も悩んでいた。
「うーん、さすがの旦那様でも教えたくないな~、でもこの工場を見せたのはすごい久しぶりで楽しかったし・・・」
工場の中を行ったり来たり落ち着かない様子だった。
ぐるぐるとずっと悩む少女の様子を見たセバスは、助け舟を出した。
「ここはあなたにとっては、よほど大切な場所なのですね。では私の素性を明かしますので、それからゆっくり取引をするか考えては頂けませんか?」
今の少女には重大な決断を下せる余裕はなかった。
また人間に暴言や脅迫を受けたように、また迫害されたらどうしよう。
自動人形達が奪われるのではないか?
昔を思い出して、考え込む。
セバスは左胸に手を当てて深々とお辞儀をした後に、ゆっくりと話し始めた。
「では、私から自己紹介を致します。私は代々続く貴族のソリュシャン様に仕えております、セバスチャンと申します。セバスと呼んで頂いて結構です。そして、自己紹介が遅くなってしまい申し訳ありませんでした」
セバスチャンは、自己紹介が終わった後再度、深々とお辞儀をした。
「セバスチャン様、自己紹介ありがとうございます。私の名前はメイティと申します。裁縫と魔法が得意です。よろしくお願い致します。」
メイティはお辞儀が久しぶりなのか、ぎこちなくお辞儀をした。
「あの・・セバス様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「もちろん、どうぞ。セバスとお呼びください。」
セバスはにっこりと微笑んで答える。
「実はまだ、頭の中がまとまらなくて・・取引するかどうかは決められないので、2、3枚プレゼントするのでセバス様、今回はお試し期間ということでお願い出来ませんか?」
両手のこぶしをギュッと握ってメイティが話す
「もちろん。お試し期間を頂けるなんて、こちらとしても服の効果が試せるので嬉しいです。ありがとうございます」
セバスは、ツアレ用に回復魔法の効果アップと即死無効化率アップの服をそれぞれ選び、最後の一枚はアンデット用に光魔法耐性アップを選んだ。
やっとセバスはナザリック地下大墳墓に帰ることに・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます