鼻歌のアインズ様

「本日は長々と失礼致しました。そして服のプレゼントありがとうございます。」

玄関でセバスは一礼をした。

「いえいえ!私の方こそ、当初は荷物を運んでもらうだけだったのに、突然に秘密暴露したり、プレゼントしたりと長い時間、引き留めて申し訳ありませんでした」

もはや残像が見えるんじゃないかぐらいの速さで、ペコペコとメイティは謝る。


「人助けはやっぱりするべきことですね。こんな素晴らしい服に出会えるなんて・・・」

プレゼントされたセーターを見ながら、しみじみとセバスは喜んだ。

(今日は、人助けが迷惑になってしまうと思う出来事ばかりで大変でしたが、良かった、良かった)



メイティとは服の感想を伝えるため、また会う約束をした。



メイティは家の外に出て、セバスの姿が見えなくなるまで大きく手を振っていた。

「ありがとうーーー!また会いましょうーーー!!」

セバスはメイティから見えなくなるところまで歩き、それからはゲートの魔法を使用して、ナザリック地下大墳墓に帰った。


メイティは、久しぶりに人と会って話す楽しさと、別れる寂しさを体感した。

(ああ~こんなに雑談を話したのは久しぶりだったな~。また会いたいな~。久しぶりに、おばあさんに変身しないで街に出掛けてみようかなあ・・・)

___とある場所に住んでいた、おばあさん(美少女)の人間嫌いがちょびっと治った。





_____セバスは、ナザリック地下大墳墓にやっと帰ってきた。

(昼間に帰ってきてツアレの様子を確認しようと思っていたのですが、夕方になってしまいましたね・・・)


持って帰ってきた服をいち早くツアレに見せてみたいが、そこはぐっと堪えてアインズ様に見せることにした。

(まずはアインズ様に報告しないと・・・アインズ様はなんと仰るのでしょうか・・至高の御方は、もうこの服の存在をご存じかもしれませんが・・・)


「メッセージ。・・・アインズ様、只今報告してもよろしいでしょうか?」

「ふんふん~ふ~ん~♪・・・・はっ!んっん~ん!大丈夫だ。報告せよ。」

(いや~久々にお風呂入って、つい気持ちよくて鼻歌歌ってたよ~!やばい!!気づかれたかな・・汗)

お風呂に入っている最中のアインズはすごく慌てるが

しかし、感情抑制化のスキルで落ち着きを取り戻した。


「は、本日休みを頂きましたが、その際に面白いアイテムを発見致しましたので、アインズ様に確認して頂くお時間を頂戴したいと考えております」


「うむ、それはナザリック地下大墳墓に利益を与えるものだな?」

「もちろんでございます。アインズ様」





____玉座の間でセバスは跪く。

「アインズ様、本日は休日を頂きありがとうございました。魔法効果が織り込まれた特殊な服を入手致しましたので、アインズ様に見て頂けるとは嬉しい限りでございます」


「うむ、休みなのにナザリック地下大墳墓の為に動いているセバスはさすがだな。褒美を取らそう、何かあるか?」

玉座からゆっくりとアインズは立ち上がる。

「いえ、とんでもございません。お休みを頂けたこと、褒めて頂けた事が何よりの褒美でございます」


「そうか、分かった。また休みの時の為に、褒美は残しておこう」

「アインズ様、ありがとうございます。さすが至高の御方でございます」

セバスはずっと跪いて答えていた。






____一方その頃、ツアレは・・・


「セバス様が全然帰ってこない・・・あたしのせいで怒らせちゃったのかも」

とまたベッドの上で、ごろごろと転がりながら悩んでいた。

「まあまあ、ツアレ。そんなことはないワン。セバス様ならきっとツアレの為に買い出しに行ってるはずです・・・ワン!」

色々と仕事のあるはずのペストーニャが、ずっとツアレに付き添っていたらしい・・・


「ペストーニャさん、お仕事戻らなくて良いのですか?私の事は気にせず戻って頂いても構いませんよ?」

大きなハート形のクッションを抱えたツアレが心配そうに尋ねる。

「良いのよ、ツアレ。たまには息抜きも必要なのよ・・ワン。他のメイド達に仕事はお願いしてきましたから・・・あ、ワン」



ツアレの部屋で紅茶を飲み、リラックスするペストーニャ。

「・・・恋って色々考えちゃって大変よね、私にも分かるわよ・・ワン」

本当にペストーニャが恋をしたことがあるのか、定かではない。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る