第8話 勝ちゃいいんだよ
「だって、リオさんの魂魄武装は鎖じゃないですか」
「喜べ。両親以外にこれを見せるのは、お前等が初めてだ」
ファイスの鎌を伸ばして柄を短くし、石突を鎖で繋がったまま射出する。
鎖鎌モードってとこかな?
「鎖ってのは、こいつの事だ」
バカップルズに動揺が走る。
俺の武器は鎖だと決めつけ、それを元に立てた作戦が瓦解した。
更に頭の切れる奴は、他パーツの射出まで出来る可能性に気が付いたはずだ。
このまま突っ込んでも楽しくないな。
「タクト!10数える間だけ時間をやる。仲間、纏めろ。10!」
「みんな、落ち着け!俺達は殺されない、大怪我もしない!」
「9!」
「リオさんは容赦はしないけど、手加減してくれる!」
「8!」
「想定外の強敵との遭遇戦だって、力を合わせて生き抜いてきたじゃないか!」
「7!」
「俺達の絆を思い出すんだ!」
「6!」
「それに、地獄の訓練の仕返しをしたくはないか!」
あれ?思っていたのと、方向性変わってきた?
「5!」
「アレに耐え抜いた俺達に、負けはない!」
「4!」
「俺達は強い、諦めなければ必ず仕返し出来る!」
「3!」
「みんな、声を出せ。気合を入れるんだ!」
「2!」
「勝つぞー!」
「オー!」
「1!」
「お待たせしました、リオさん」
『ゼロ!』
全員の声が唱和して戦いの幕が切って落とされた。
俺、タクト、前衛ガールズは走り出す。
他の者達も射線が重ならないように位置取りし、遠距離攻撃の魔法や弓矢を放ってくる。
爆力は禁止なので、一瞬だけ足を闘気強化して大きく跳躍。
前衛達を跳び超えて、中衛と後衛の間に着地予定。
百戦錬磨のバカップルズも既に改めて走り出し、空中の俺に遠距離攻撃をしてきた。
魔波を使い矢と魔法を消し飛ばすと、球体にして威力を落とした魔弾を雨のように降らせる。
前衛達が足を止めたので、鎖を伸ばしてファイスを投げる。
後衛の展開する中心地点にファイスが扠さったら、鎖を縮めて空中移動。
ファイスを消して後衛を掴むと、前衛に向けて投げる投げる。
その後も徹底的に乱戦を継続させ、最後はタクトとの一騎打ちになった。
「流石に気も魔力も、ほとんど空だ」
「いくら相手がリオさんでも、30人以上でかかれば倒せると思ったんですけどね」
「んで?強化すんなら、待つぜ」
「いえ、俺ももう空っぽですよ」
「んじゃ。かっかってこいやぁ!」
「行きます!!」
互いに走り最後の一撃と剣とハルバードを振るい、必勝の意思を込めた刃が打ちあ…わずに、ファイスを消すと、スライディングをして剣をくぐり抜け、タクトの顎を両足で蹴り上げた。
『えええええええええっ!?』
タクトは気絶して、観客と化していたタクトハーレムガールズからは疑問の声が。
「勝ちゃいいんだよ、勝ちゃ」
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