第2回 『深夜』
わが社には、当直業務はありません。
自立型のアンドロイドさんは、自宅に帰りますし、警備はロボットさんたちでほぼ完璧です。
それでも、時たま、人間が深夜まで残業をすることもあります。
これは、まあ、人間の『業』というべきものです。
そうしたなかで、おかしな噂が立つ様になってきておりました。
夜な夜な、幽霊が出る!
という、噂です。
この、ロボットとアンドロイドさんだらけの、すっかり、しらけきった時代に、幽霊さんが出るわけがない。
深夜の映像を確認しても、警備ロボットのデータを見ても、幽霊さんなんてまったく写ってもいません。
しかし、笑っていられない事態が起こってしまったのです。
経理課のジャンスさんは、当月〆の給料計算に手こずっていました。
経理ロボットが、少しおかしくなっていたのです。
そこで、最初から、全部、やりなおし人力計算をしなければならなくなりました。
彼女は、しかたなく、残業をせざるを得なくなったのです。
課長さんが、なぜ手伝わなかったのか、あるいは、もう一人助手を手配しなかったのか、ぼくは、少し不思議でした。
もっとも、ベテランで、プライドが非常に高い彼女が、自分で断ったのかもしれませんが。
まあ、人力と言っても、パソコンを使っての計算ですから、半人力ですが、それでも、人数も多いし、手間と時間がかかります。
で、・・・・・出たのです。
深夜、2時過ぎ。
昔から、幽霊が出やすい時間と認識されておりましたが、科学的根拠があるとは思えません。
もっとも最近は、深夜の飲み屋さんとかコンビニさんとかの営業は、厳しく規制されていて、無理して許可取ってやってみても、あまり利益も上がらないんで、大都会の夜も、今や、ひっそりしたものです。
代わりに、『自動販売機』は、それなりに充実していて、おそばとか、おでんとか、定食とか、難しいこと言わない範囲なら、お酒以外は、だいたいのものが手に入ります。
夜中に散歩すること自体は、別に規制もありません。
ただし、『自動警備システム』が進んだので、うっかり犯罪などをすると、現行犯なら、その場で『即決自動裁判』の末、『5年間意識不明状態』にされるとか、まあ、いろいろとありまして、これもまた、さっぱり割にあわないので、犯罪は少なくなっています。
会社の中にも、高級自販機はあるので、(社員なら半額!)彼女は、そこで買った美味しいおそばを、自分の喉にかき込みながら、休憩していました。
残業許可は取ってありますが、その分を、二割増しにして、一週間以内に休まないと違法になります。
とはいえ、社員のお給料は、やはり払わないとまずいです。
で、その休憩中の彼女が、ふと、異変に気が付いたのです。
誰かが、廊下を歩いている気配がありました。
しかも、なにやら、歌を歌っているようなのです。
「ねんねん・・・ころりよ・・・・おころりよ・・・・・」
静かに・・・静かに歌います。
不気味でした。
しかし、なかなか気の強いジャンスさんは、こう思いました。
「またく、この真夜中に、酒飲んで、会社で遊んで、悪ふざけしてるやつが、やはりいたのかあ! 許せん! 社長にかわって、成敗いたす!」
彼女は、おそばを食べていた『相談ブース』から立ち上がり、凶器となるお箸をつまんだまま、つかつか! と、事務所のドアを開け、外に出たのです!
『ぎょわあ~~~~~!』
ジャンスさんは、叫びました。
全身、血を浴びたように、真っ赤な白衣を着た何かが、目の前に立っていました。
その顔も、血だらけだったのです。
その手で、ベビーカーを押していました。
そこには・・・・・・・赤ちゃんが、いたのですが・・・・
胴体だけ、だったのです。
その子が、ちいさく泣くのです・・・・・・
************ ************
たぶん・・・つづく
*うわ~~~、スランプだ~~~(万年スランプじゃん)。すっごく蒸し暑い。なのに寒い。痛い。のろいだあああ~~~~~~(作者の叫び)ゆ・・・指がかってに違うこと書く・・・
👻
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます