無意味な世界の無価値な自分
Salt
第1話
静寂の満ちた空間は声なき喧騒に包まれている。
ゆっくりと稼働する空調、イヤホンから漏れる音楽、線路の継ぎ目をタイヤが通る音、ドアの隙間からもれる風の音……。そのすべてがハーモニーを奏でている。
ドアに寄りかかると、外からのすきま風もひどく鬱陶しい。
流れていく街並みが視界を目まぐるしく彩る。しかしそれは、つまらない日常の一ページとして通り過ぎていく。
自分は何のために生きているのか。これから何をしに行くのか。
行って帰るだけの日々。退屈な日々。変わらない日々。嘆いたところで変わりはしない。
電車が大きく揺れる。
無意味な世界の無価値な自分 Salt @0920
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