第9章 僕は

家に帰ると、僕の心は急に静寂感に満たされた。

何もする気は起きず、そのまま布団に寝ころぶ。

サキはあの海から動こうとはしなかった。ただ一言「帰って」と言うだけだったのでその言葉に従った。

時計を見ると夜の19時だったので心配になって電話をかける。

しかし、予想通り電話にはでない。

僕が今、するべきことは。サキをどうにかして連れ戻すことか。それとも咲歩に別れを告げることか。

いや、僕がずっと曖昧にしていた僕の中にあるサキ、咲歩に対しての感情の整理だろう。

僕は、出会う時ではないと感じているものの感情の整理をするためには咲歩と会わなければいけないと思った。

僕はサキへの電話をやめて咲歩に電話をかけた。

「もしもし、咲歩。」

「どうしたの?」

「少し今から会えないかな。」

「今は仕事中だから明日の朝とかどう?」

「じゃあ、明日会おう。仕事中に電話してごめん。」

「ちょうど休憩時間だったから大丈夫よ。じゃあまた、明日ね。」

「あぁ、ありがとう。」

そして僕は電話を切り、ただ仰向けになり、天井をながめた。

咲歩の

あの

不思議な思考

まだまだ未知がたくさん詰まっている

咲歩の言葉は、僕の思考までも書き換えているようだ

それは無理矢理な不快さはなく、新しい地に僕を立たせてくれている。

少しきつい言葉を使ったりするし、仕事は世間的に喜ばれるものではない。

そんな所もあるが彼女には魅力がある。

その魅力は決して他の人には置き換えられない。


「僕は咲歩と離れたくない。」

僕は1つの答えをだした。

そして出した答えに僕は納得をして、そのまま眠ってしまった。

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