はじまり 1-2

久しぶりに、お互い仕事が休みであったので少し遠出のデートにいくことにした。

といっても電車で1時間ほどのショッピングセンターだ。

「今日は何か欲しいものはあるのかい?サキ。」

電車の中での会話は、目的地に着くまでの楽しい時間である。お互いにたわいもない話をしながら電車は1駅また1駅と進んでいく。

そして目的の駅に着いた時、僕はなにか懐かしいような匂いがすると感じた。

しかしその匂いの元は周りを見渡しても分からず、あわてて閉まりそうな電車のドアをでてサキの元へと戻った。

「びっくりしたわよ。私だけここに置いてかれるんじゃないかって思ったよ。」

サキは怒りと困惑を混ぜたような表情で僕にそう言った。

しかしそんなサキの言葉とは裏腹に僕はさっき感じた匂いについて考えていた。

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