第2話 空想科学実現サークルRIAL
「ここが、空想科学実現サークルか…」
あのポスターを見たあと、僕は来た道を引き返して空想科学実現サークルが活動している場所へと向かっていた。オカルトじみたサークルだから、さぞおぞましい見た目の場所で活動しているのかと思ったが入り口は案外普通だった。
「すいません、外のポスターを見て来たんですが誰かいますか」
「おや?入部希望かい?新入部員は大歓迎だよ」
部屋の中に入ると、明るめの茶髪で凄く美形の男の人がいた。恐らくこのサークルの先輩だろう。
「あ、いえ。まだ入るとは決めてないんですがちょっとだけ見学に…」
僕がここに来た理由を伝えると彼は快く承諾し、このサークルの活動内容や活動メンバーなどの紹介をしてくれた。
「明日新入生歓迎パーティーをするからもしよかったら来てみなよ」
「あ、はい」
僕は遠慮がちではあるが了解の意味を込めて返事をした。
「あぁ、そういえば自己紹介がまだだったね。僕の名前は
「あ、えっと、坂本遊真です。よろしくお願いします」
お互い軽い挨拶を交わしてこの部屋を去ろうとした時、部屋の端の机に一冊の本が置いてあるのが目に入った。
「先輩。この本は何ですか?」
「あぁ、それかい。それはね、この街のお伽話に関する本さ。興味があるなら借りてっていいよ」
彼はそう言いながら嬉しそうな、少し寂しそうな瞳をしていた。
その晩、サークルで永見先輩から結果的に借りる事になった本に目を通した。
本のタイトルは「
その題名には、お伽話にしてはお堅いのではという印象を受けた。
読み進めていく中でわかった事がいくつかある。まず、この本自体がお伽話というわけではなく所謂解説本の類である事。次に、この本は未だ未完成であるという事。そして、この本にどこか懐かしさを感じるという事。
(流石に三つ目は僕の考えすぎか…)
そして更に読み進めていく中で僕はとあるページで目が止まった。それは「
僕がこの本を読み終えた頃、窓の外はまるで僕の
また、ほんの僅かではあるが止まっていた心の歯車が動き出した音が聞こえた。
*****
彼が部屋を出て行った後、僕、永見博は先程まで一冊の本が置いてあった場所に手を当てた。
「まったく…本当に君の言う通りになったんだね」
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