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 萌はオカルト研究会の部室の真ん中に置いてある水晶玉の乗っかったテーブルの周りを、ぐるっと、時計回りで回って、左の棚の探索を終えて、朝日奈くんがいつも使っている(と思われる)きっと、オカルト研究会の部長専用の大きな机の前にやってきた。

 そこはとても綺麗に整頓されていて、置いてある物も、ほとんどなにもなかった。(朝日奈くんがそういう整頓好き、綺麗好きな性格をしているのかもしれない)

 萌は棚と机の間にある緑色の観葉植物を眺めてから、右の棚に移動した。

 右の棚は左の棚とは違って、オカルト研究会の今まで活動してきた資料とその報告書のようなもので、ぎっしりと埋まっていた。

 きっとこれから萌たちが行うような、UFOを呼ぶとか、そういった実験や儀式を、オカルト研究会の人たちが試しては、その内容を紙の資料にまとめたものたちなのだろう。

 本物の資料から(きっと図書館から借りたりして)コピーした紙も多いようで、その量は膨大であり、棚を埋め尽くしていて、棚の上や下にある段ボールの箱の中にもいっぱいにそれらは詰まっていた。

 そんな風景を見て、確かにこの研究会を私たちの代で終わらせてしまうのは、少しもったいない、(あるいは、ちょっとだけ寂しい気持ちなる)と萌は思った。

 朝日奈くんが先輩に顔が立たないと言っていた意味もわかる気がした。


 萌は部室の中を一周して、ドアの前に戻ってきた。

 それからもう一度、左の棚の前に移動して、萌はそこにある本を見る。本当にいろんなものがある。

 その中で萌はなるべく自分が読んでも興味が続くような本を探してみた。比較的に新しい本が並んでいる場所があったので、そこを中心に萌は本を探した。

 タロットカードの本。風水の本。星占いの本。超能力の本。SFの文庫本。時間旅行者の本。幽霊。神話。民俗学の本。シャーマン。それに、……神道の本と、巫女の本。


 ずっと見ていくと、その中に萌は『羊をめぐる冒険』の本を見つけた。

 それはきっと、村上春樹が大好きな野田葉摘が置いていった(あるいは現在進行形で置いてある)本だと萌は思った。

 萌は羊をめぐる冒険を手に取ると、スチールの椅子に座って、その本を少しだけ読んでみることにした。

 壁にかかっている時計を見ると、時刻は、もうそろそろ、生徒たちは校舎の中から、下校をしなければいけない時間が迫っていた。

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