7
郡山第三東高等学校オカルト研究会の部員は、萌を除いて三人だった。
三年生の朝日奈勝くんと、真中硯の二人と、二年生の野田葉摘の三人。一年生はゼロ人。誰もいない。
ちょうど、逆三角形のような感じで、人数か減っていた。
「卒業生はなん人いたの?」
と聞いてみると、「三人。みんないい先輩たちだった」と硯は答えた。
早川萌はオカルト研究会の部室にやってきた新谷翔くんが、部長の朝日奈くんと話をしているときに、そんなあまり意味のないことを考察したり、頭の中で考えていたりした。
野田葉摘は相変わらず文庫本を読み続けている。やってきた新谷くんには、挨拶もしていなかった。
「それ、面白いの?」と萌が聞くと、
「はい。すっごく」
と、葉摘はいい笑顔で萌に言った。
「なんだ。来てくれたってことは、やっぱりオカ研に入ってくれるつもりになったの?」と朝日奈くんは言った。
「いや、そういうわけじゃないんだけどさ……」新谷くんは言う。
それから新谷くんはちらっと萌のことを見た。
さっき、部室の中を通ったときにも、新谷くんはちらっと萌のことを見ていた。
「部員。四人いるけど」
新谷くんが言う。
「そう。たったいま四人になったんだ。『あと一人いれば五人になって、オカルト研究会はとりあえず今年も存続できる』。先輩たちに顔向けができる」とにっこりと笑って朝日奈くんは言った。
「ね? 早川さん」
「え? は、はい」
と萌は答える。
なぜか朝日奈くんは硯でも葉摘でもなくて、萌に対してそう聞いた。
それから新谷くんがドアのほうを振り返って、今度はちゃんと、正面から萌のことを見た。
新谷くんはじっと、萌の顔を見つめる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます