6
みると、朝日奈くんも平然としているし、親友の硯だって、こうして人を強引に変な部活動に誘ったりするし、葉摘は初めて会ったばかりの先輩の私に『悪い噂のこと』を隠そうとはしていないみたいだし、どうやらこの場所には、いわゆる変な人たち、しか集まっていないようだった。
「ふふ」
萌は小さく笑う。
「うわ? 萌が笑った?」硯が大げさに驚く。
いや、それだけではなく、朝日奈くんも葉摘も、目を大きく見開いて驚きの表情を見せている。
「珍しい。萌でも笑うことあるんだね」
「当たり前でしょ?」
萌は言う。
そう、人が笑うのは当たり前のこと。でも、早川萌にとって、それは全然当たり前のことではなかったのだ。(だから、みんな驚いているのだ)
早川萌が笑った理由。
それは、こうして、変な人たちばかりが集まっている部活動に私も参加しているということは、私もきっと、その変な人たちの一員に違いないのだ。
と、早川萌はそのことに気がついて、つい、思わず、本当に久しぶりに人前で笑ってしまったのだった。
「早川さんはオカルト研究会。入部してくれるんだよね?」
朝日奈くんが言う。
萌は朝日奈くん、硯、それから葉摘の顔を順番に見てから、「はい。私はオカルト研究会に入部します」と姿勢を正してそう言った。
すると三人はお互いの顔を見合わせてから、「よろしく」と三人一緒に、萌に向かってそう言った。
(なんだかんだ言って、人数の少ない部活動は仲が良くなるようだった)
こうして、早川萌の高校三年生になって、高校生時代最後の年のほんの短いオカルト研究会による部活動が始まった。
すると萌の背後で、がちゃ、と言う音がして、いきなりドアが開いた。
萌がびっくりして後ろを振り返ると、そこにはあまり見たことのない一人の男子生徒がいた。
その生徒との出会いは、早川萌の人生を変える、萌の運命の出会いだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます