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「早川さんも、オカルト研究会、入部するの?」
新谷くんは言った。
「うん。名前だけってことだけど、入部はすることにした」萌は答える。
「活動は全然しないの?」
新谷くんの言葉を聞いて、萌はオカルト研究会の面々の顔を見る。すると三人は、じっと萌の顔を真剣な表情で見つめていた。
「……まあ、たまには参加するかもしれない」と萌は言った。
するとオカルト研究会の面々は、それなりに嬉しそうな顔をした。
「ふーん」
新谷くんは言う。
それから新谷くんは少しの間、その場で顎に手を当てながら考えたあとで「やっぱり俺も入部する」とオカルト研究会の部長、朝日奈くんにそう言った。
「え? 本当に!」
椅子から立ち上がって、嬉しそうな声で朝日奈くんが言う。
「うん」
新谷くんがそう返事をして、そして新谷くんのオカルト研究会への入部が決定した。
「ありがとう! いや、最初から僕は新谷くんのこと、信じてたけどね」
嬉しそうな顔で、新谷くんの前まで行って、そこで新谷くんと握手をしながら、朝日奈くんがそう言った。
その間、硯はつまらなそうな顔で、いつの間にか棚にあったロゼッタストーンの模型をいじりながら、その光景を見ていて、葉摘ちゃんは、二人のことを無視して、ずっと文庫本を読み続けていた。
それから新谷くんは「今日はちょっと用事があるから」と言って、入部届けの紙をもらって、それから一人で先にオカルト研究会のドアを開けて、みんなよりも一足先に一人でさっさと家に帰ってしまった。
そのときに新谷くんは萌にだけ「……じゃあ、これからよろしく」と言って、それからオカルト研究会の部室を出て行った。
「よろしく」
と萌が返事をすると、新谷くんはちょっとだけ恥ずかしそうな顔をした。
「いやらしい」
ロゼッタストーンの模型をなぜかずっといじっている硯が、新谷くんがいなくなってから、ドア越しに、姿の見えない新谷くんに向かって、そう言った。
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