第9話

ここまで、ぼくは、どのくらい歩いてきたんだろう。また、この先、あれはてた、こうやが目の前に見えている。ぼくは、これから、歩いて行けば、どこかの世界にたどりつけるのだろうか。空は青く透き通っていて、くもが、高いところに、あちらこちら、はぐれたくもが、ういている。

目の前には広いこうやがつづいていて、草ははえているが、木々がかれている。大きな、岩が、ゴロゴロとしていて、あちらこちら、岩の山々が、つづいている。

川はあるが、水はかれている。

風は、かわいていて、サラッとした風は吹いている。

汗はかくが、かわき、塩がひふにのこる。

歩きすぎて、汗もかきにくくなっている。

まだ、ぼくは、しばらくまだ、あれはてたこうやを、歩いて行く。ここにいても止まっても。何も生まれない、何も、ここにはうまれるものも、いいこともない。だから、歩いて行く。


かずみは、あいかわらずだ。朝起きると酒をのみはじめる。生きるのがこわい。朝が来るとこわいといい、おきると、酒をのみはじめる。ビールは一日、千円~2千円、かってきてのむ、焼酎だと1Lのパックとお茶を1.5L×2本を一日で、のんでいくかな?

やめろというとおこるし、もう、のみたいだけのみなといってあげる。死んだら死んだ出めんどうみてあげると伝えてある。ぼくはやさしさで、のんでいいよとは、いっていない。かずみの酒は、のむとすこしおちこみ、そして、おこりだす。話をきいてあげると、そのうち、おこりだして手が付けられないこともあった。

何度か、お酒をやめようとしていたときもあったが、また、のみはじめた。

朝からの酒は、昼から3時頃までのみ少しひるねをして、夕方から、よし朝までのみつづける、よるは、ねむれない、よくあさまでのみつづける。よるは、ねむれない。よくあさまでのみ、おきて、また酒をのみはじめる。


かずみは今でもたくさんの男がいる。男のそれぞれは、だんながいること、別の男がいること、などしらない。それぞれ、そのときの都合で使い分けている。それを、かんしょうしてもしょうがない。


やきもちやいたりしても、かずみはおこりだす。

けっこんした今でも恋人は多い。たまにあそびにいったり、れんらくをとりあったり、メールを、楽しんでいたりする。かんしょうしきれないし、かんしょうしてもしょうがない。バブルがはじけて20年たっても、その当時の水・風のねえちゃんそのまんまであり、かずみにとって、男は道具だと言っていた。

そのとき、そのとき、今でも使い分けている。


最近、かずみは、かずのりとのこうさいは遠のいたみたいだ。そして、昔からの友達の、さぎのみやの、元ホスト、コックをしながら、自宅の内装(インテリア)屋さん(職人)と、あそんだり、メールしたり、会ったこともあったり、大泉のカズ君という人がいて、メールをしあったり、あそんだりしたこともあったようだ。

ぼくは、タクシーで品川で営業中、よっぱらって家に帰らないと、くだをまいてTelをしてきたこともあった。むろん、品川から営業区域外の、とかの、きよせまで、戻れるわけもない。


このごろは、かずみは、酒びたり、昼と夜が逆で、よるはねないこともあったり、買い物も家事も、なにもできない。

家の中が汚れていくことも、よくあった。かずみはよごれた、くらいへやにいつも一人で、酒におぼれている。


よる、あばれたり、こうふんしたり、ばせいをとばされたりして、ぼくは、タクシーの仕事の前の日、夜中までねむらせてもらえなかったり、ねむれなくなってしまい、次の日、あまりにもねむかったり、一睡もできず、仕事をやすむこともあったり、半日寝てから仕事をしたり、やすみやすみ、しごとをするkともよくあった。

このごろ、景気も悪く、お客様もへり、仕事が成り立たなかったり、えい収もずいぶんおちた。アルバイトもあいまにかけもちするようになり、どちらが本業、副業わからなくなってきた。今は前に向かって歩いていくことがせえいっぱいで、今は何も見えない。

足もとしか見えない。

でも上を向いていこう。

「じごくからはいあがりたきゃあ上を向いていきな」

あの遠い昔のゆめのなかのことばが、おもいつく。

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