牢屋と黄金色の瞳の少女
そこは窓一つなく、人の排泄物の臭いがそこかしこに充満していた。
とても部屋と呼べるようなものではない。
地下に掘った穴に、石を敷き詰めただけの、まさしく牢屋だった。
ほとんど腐りかけの木のベッドの脇に、彼女は座り込んでいた。
最初は人間ではなく奇妙な魔物の置物かと思った。
全身、真っ青で分厚い鱗で覆われている。
鱗の隙間から、まるで獣のように大きな黄金の瞳がこちらを捉えていた。
「あの…」
「あなたもルバスタンに捕まったの?」
その風貌には似つかわしくない、あどけない少女のような声が聞こえてきた。
「もしかして君も、人魚を見つけたの?」
「私は見つけてない。ルバスタンが探してきた」
「ルバスタンが?一体、どこで」
「それは、知らない」
彼女は、もとの色が何色だったのか分からないほどに薄汚れたワンピースを着ていて、鱗で覆われていても分かるほどにガリガリに痩せていた。
全身に僕に現れたのと同じような人魚の鱗がびっしりとある。
その色は、まるでビー玉の色のような鮮やかな群青色だった。僕の腕に広がっている鱗よりもずっと濃い色をしていた。
目は大きく窪んでギョロっとしている。
カルミヌスが言っていた言葉を思い出した。
その能力は、使えば使うほど強くなり、使えば使うほど人の命を食い尽くしていく。
おそらく彼女は、ルバスタンの命令で、ラングルスを使い続けているに違いなかった。
「その力を使えば、君はこんなところいつだって逃げ出せる。何故、逃げ出さないの?」
「じゃあ、あなたは?何故、逃げ出さないの?」
「僕は愛する人を人質にされている」
「愛する人がいるのは、あなただけじゃないわ」
彼女は膝を抱えながら、そう言った。
「愛する人がいる人間を服従させるのは簡単なことね。言うことを聞かなければ、さもなければ、あなたの愛する人を殺す。そう言えばいいだけのことだもの。そう、思わない?」
僕は彼女から少し離れたところに並ぶようにして腰を下ろした。
彼女の左手の中指に、鮮やかな赤い宝石のついた指輪がはめられていた。
その指輪に、はっきりと見覚えがあった。
「その愛する人とは、もう二度と会えないまま、君は死んでいく。それでも、君は構わないのか」
「構わないわ。何の価値もないこの私の命が、彼の輝きを消さないためのものだったのだとしたら、私にとって何よりも幸せなことだもの」
彼女は、指にはめた指輪を見つめていた。
言わなくては。レックのことを。
レックはルバスタンに殺された。遺体は見つかっていない。
君を救おうとしてた。だけど、ルバスタンに殺された。
そう話さなくてはと、心の中で何度も思った。しかし、どうやって切り出せばいいのか分からなかった。
どんな関係だったのかも分からない。
空な表情をしたまま彼女は、また話しだした。
「君は、変わらないね」
一瞬、僕はその言葉に戸惑い、返事に詰まった。
彼女の黄金色の美しい瞳を見つめた。
手がかりはこの瞳しかなかったが、記憶のノートをめくって遥か昔まで遡ると、そこに、その瞳の持ち主の顔がありありと描かれていた。
「もしかして君は、リュクシーなのか?孤児院で一緒だった、リュクシー?」
「こんな見た目じゃ、分かるわけないよね。私は、ルバスタンに連れて来られた君を見てすぐに、アジュアだって分かったけど」
「ごめん」
咄嗟に謝った僕を見て、彼女はようやく懐かしそうに微笑んだ。
「この指輪ね、レックにもらったものなの。レック、覚えてる?孤児院で一緒だったでしょ」
「ああ、うん」
僕はまだ本当のことを言えないまま、曖昧な返事をした。
「レックが、きっといつか結婚しようって、くれたものなの。ある日、私が使用人をしていた宿に彼がやって来て、この指輪をくれたの」
「それって、いつのこと?」
あの日は、口から白い息が出るほどに寒くて、村中のあちらこちらで松明の灯りが揺れていた。
村の酒場からは、人々の喧騒とお祭りにふさわしい音楽が聴こえていたはずだ。
ーータナーグ。
「タナーグの時期よ。宿へも、村の外からお客さんがたくさん来ていて、よく覚えてる」
間違いない。
僕がレックと最後に会話をした日だと思った。
「私ね、使用人として働いていたお屋敷から売られて、宿の使用人になったの」
街の宿で使用人として働くということは、つまり、娼婦として働くということと等しいことだ。
だから、孤児院から卒院する就職先としては認められてはいなかった。
彼女が働いていた屋敷の事業が傾いたという事情があるわけでもなく、使用人として働き始めて数ヶ月目に、突然宿屋の店主が迎えに来て、売られたことを知ったそうだ。
話の通りなら、使用人として孤児院から引き受けるつもりなどなく、最初から宿屋に売ろうとしていたのではないかと思えた。
宿屋で何をやらされるのか分かっていたリュクシーは、逃げ出した。しかし、身寄りもなく幼かった彼女は、逃げ出した3日後に、宿屋の男たちに捕まった。
きっと、ひどいことをされると思い、死のうとしたが、宿屋の店主は三日三晩食事をろくにしていなかった彼女に、温かいベッドと食事を用意していた。
「君の家はここなんだよ」と諭すように言われたそうだ。
それで彼女は、逃げることを諦めた。
上流階級がやることとは思えない。
紛れもない、犯罪行為だ。
どこかでリュクシーが宿屋に売られたことを聞いたレックが、宿にやってきて彼女の身請けをしようとした。
レックが17歳の夏のことだったという。
僕とレックが再会する1年ほど前だ。
レックは、ものすごく高額な金額を店主に提示された。
タブリスカ様の屋敷のただの使用人だったレックに、そんな金額がすぐに用意できるはずもない。
しかしレックは、心配要らないと彼女に話した。大金を手に入れる方法が一つだけあるが、少し時間がかかるので待っていてほしいと。
レックとリュクシーは恋人同士ではなかったという。少なくともレックからは、女性として好意を抱いていると話をされたことはなかったそうだ。
レックは、給与が入ると彼女の宿屋へやってきて「たった一日だけだけど、俺が君といれば君は寝たくもない男と寝る必要がなくなる」と言って宿へ泊まりに来た。
レックが、リュクシーのことを友人以上の存在として見ていないと彼女が思っていたのは、その宿泊の際に、彼が彼女の体に触れたことが一度もなかったからだという。
だからリュクシーは、彼のその行動を、友人、いや同じ場所で育った兄妹に対する同情心や正義感のようなものから来るものだと思っていた。
赤い宝石の指輪をもらうまでは。
今の僕には、そのレックの気持ちが手に取るように分かった。
本当に大切なものには、触れることさえ怖い時がある。何も壊してしまいたくなくて、触れることができない。
そんな気持ちが、今の僕にはよく分かった。
彼女は、レックを信じて待っていようと思ったが、レックがあの指輪を彼女に渡したすぐあとに、ルバスタンが宿屋にやってきて見受け代を出す代わりにルバスタンの屋敷で働いて欲しいと提案されたので、彼女はそれを受け入れてしまった。
レックが彼女の身請け代のために、自分の体をタブリスカへ売っていたことを、ルバスタンから知らされたのだ。
「私がルバスタンの言う通り、ここで彼の実験に付き合うなら、レックを今の環境から救い出して、生涯を保証するとルバスタンは約束してくれた。その代わり、私が根を上げて、もしも逃げ出したら、その時はレックの命を奪うと、そう言われたの」
ルバスタンはいつからこの計画に関わっていたのだろう。
僕は彼女の話を聞きながら、頭の中にある記憶の欠片を掻き集めて並べ、それらとつなぎ合わせて考えていた。
ルバスタンは、レックがリュクシーのことを好きなのだと、いつから気がついていたのだろうか。
もしかして、彼女が宿屋に売られたことも偶然ではないのかもしれない。
考えすぎかもしれないが、最初から最後まで全てルバスタンが関わっていたとしてもおかしくない。
まずはリュクシーを宿屋に売り飛ばし、その事実をレックに教え、大金を店主に提示させ、タブリスカに体を売るように仕向け、僕にその事実を突き止めさせ、タブリスカを陥れ、司祭の座に着く。
もしかすると、レックは僕と再会した時には、もうすでに、ルバスタンと手を組んでいたのかもしれない。
タブリスカを陥れる計画を考えたのは紛れもない僕だ。しかし、ルバスタンならば、僕が考えることなど予想できたはずだ。
もともとあれは、レックとルバスタンが考えた計画なのではないか。
タブリスカに対するジュミール様の圧倒的な失望を引き出すには、レックでは不十分であり、僕である必要性があった。
僕は二人が描いた計画のレールの上をただ歩かされただけだったのかもしれない。
そして、タブリスカを追放することに成功したルバスタンは、リュクシーの罪悪感とレックへの想いを利用し、ラングルスを使った実験に加担させた。
もちろんリュクシーにそんなことをさせることにレックが同意するわけはない。
だから、レックを始末した。
仕立て屋の娘と本当に婚約することになった時点から、レックのルバスタンに対する不信感は強まっていて、これ以上ルバスタンのカードとして使えないと判断されたのかもしれない。
全ては、僕の想像に過ぎない。
真相は何も分からない。
しかし、現実に起こった事実をつなぎ合わせて、恐ろしい妄想を付け加えて考えてみると、それよりも現実味のあるストーリーは思い浮かばないほどに不気味なリアルさがあった。
身体中から寒気がした。
まるで、悪い夢のようだ。
ルバスタンは計算高い人間かもしれないが、悪人ではない。彼の中にある崇高な正義のために戦っている。心のどこかでずっとそう信じてきた。
しかし、手元にあるパズルのピースを合わせていくと、最初からルバスタンが仕組んだことだと思うほうが自然だった。
そしてそれは、紛れもなく、『正義』と呼べるものではなかった。
「私ってバカよね。会えなくなったら、何も意味なんてないのに」
リュクシーは言った。
「全然、バカじゃないよ。僕も、もう二度と会えなくなっても、彼女のためなら、きっと何だってやる」
「その人は、どんな人なの?」
彼女は黄金色の瞳を僕へまっすぐに向けて聞いた。
「こんな醜い僕と、こんな醜い世界には、似つかわしくない美しい人だよ」
「アジュアは美しいよ。珍しくて美しい目を持ってる」
リュクシーは歯に噛むような笑顔を作った。
僕は何も返答できなかった。心がギシギシと軋んだ。
僕は彼女に、嘘をついている。
「もしかして、レックがどうしてるか、知ってる?司教様は私が自暴自棄になると思って言わないけれど、衛兵から聞いたの。結婚したって」
真実を告げるなら、今しかない。
僕は、何度も口を開きかけたけれど、まるで口を塞がれたように、言葉がどうしても出て来なかった。
「アジュアは昔から、嘘をつけない人だった。いいの。気を遣わないで。私ね、彼に幸せになって欲しかったから。帰らない私を待っていて欲しくなかったから。だから、彼が結婚して他の女性と幸せに暮らしていたとしても、全然、傷ついてなんかいないわ」
彼女の瞳はひどく潤み、声が震えていた。
今にもその瞳から、涙が溢れてとめどなく流れ落ちてしまいそうに。
人は、簡単に嘘をつく。
優しい嘘。残酷な嘘。狡猾な嘘。虚栄の嘘。
保身のための嘘。
自分がついているのは、どんな嘘なのだろうか。
「リュクシー、君がやらされているラングルスを使った実験て、一体どんな実験なの?」
僕は彼女の質問には答えずに、そう尋ねた。
「まだ聞いてないのね。伝説上の戦争兵器<グラン・マダルシカ>の開発よ」
僕は耳を疑った。
ーーグラン・マダルシカ。
未完の殺戮兵器。
伝説の機械仕掛けの村で開発されていたと言われる飛行型の兵器の名前だ。
完成していたら一つの国を滅ぼせるほどの威力を持った兵器になっていたと言われている。
文字通り伝説の兵器だ。
「そんなものどうやって……。伝説の機械仕掛けの村で行われていた発明なんて何一つ具体的な手法が分かるような書物なんて残されてないじゃないか」
そこまで自分で口にして、一つだけ伝説の機械仕掛けの村について、事実を知る術があることに気が付いた。
人魚だ。
僕もカルミヌスに話を聞く前まで、機械仕掛けの村の話は、創作の話だと思って育ってきた。
しかし、人魚たちの寿命は長く、当時地上と行き来していた人魚たちが知っていたことは、僕たちよりも多い。
ルバスタンは人魚を見つけて、その人魚からさまざまな話を聞き出す中で、グラン・マダルシカの開発方法のヒントを得たのかもしれない。
「君が見た人魚について教えてほしい」
僕はリュクシーが見た人魚のことについて尋ねた。
彼女が人魚を触らせられたのは、ここに連れて来られてからすぐのことだったという。
ということは、今から8年ほど前だ。
人魚の性別は、男だったとリュクシーは話した。彼女とその人魚は、ここで同じようにしばらく生活を送っていた。
その人魚は非常に物知りで、黒く長い尾びれを持っていたそうだ。
「最初はね、私もその人魚も、こんな牢屋みたいな場所に監禁されて生活していたわけじゃないの。ルバスタンは人魚と村に伝わる人魚の伝説について、科学的な実験をいくつかしてみたいと話していたわ」
人魚の話では、村人に見つかり、殺されそうになっていたところをルバスタンに助けられたので、ルバスタンの実験に協力することにしたということだった。
ルバスタンが興味を持ったのは、人魚に触れた人間が手に入れるラングルスと呼ばれる能力と、その能力から生み出される青い炎を動力源とした伝説の機械仕掛けの村の発明品のことだった。
その発明品の中で、特に興味を示したのが、グラン・マダルシカだったという。
「人魚は、兵器の開発への協力はしたくないと言ったそうよ。それで、人魚は私からラングルスの能力を消し去ろうとしてたそうなの。でも、それがルバスタンに知られてしまって、それが理由で私はここに監禁されることになったと聞いているわ。それからあの人魚とは会ってない」
「ラングルスの能力を消し去る方法があるの?」
そんな方法があるならカルミヌスは、何故それを僕に黙っていたのだろうか。
「衛兵はそう言ってたけど、本当なのかは知らないの。それからあの人魚とは会えなくなってしまったから」
「それで、グラン・マダルシカは完成したの?」
「完成していない。しかし、どういう兵器なのかは概ね実験結果から分かってきている」
背後で聞き慣れた声が聞こえた。
振り向くと、そこにはガラスの鳥かごを携えたルバスタンの姿があった。
両脇には分厚い鎧を来て、筒の長い銃を構えた衛兵が並んで立っている。
鳥かごの中には、カルミヌスの姿が見えた。
眠っているのか気を失っているのか、ぴくりとも動かない。
その次の瞬間、ルバスタンの両脇に立っていた衛兵の鎧から同時に青い炎が上がり、叫び声を上げる間もなく、黒い塊になった。その塊が、積み木の人形のようにバラバラと、石が敷き詰められた床に崩れ落ちた。
焦げ臭い匂いと、真っ黒で粉雪のような灰が、牢屋のような部屋に充満する。
振り向くと、鬼のような形相をしたリュクシーが両腕を前に突き出して荒々しく息を吐いていた。
「リュクシー、君なのか……なんで……」
「アジュア、君がどんなに隠していても、君の瞳は私に真実を教えてくれたわ。レックは、ルバスタンに殺されたのね」
彼女は、片手を振り上げてルバスタンを睨みつけた。
「待ってくれ!リュクシー!」
ルバスタンは、笑い声を上げながらガラスの鳥かごを彼の顔と同じ高さまで持ち上げ、僕を見つめた。
「あなたは、レックは幸せに暮らしていると、言ってた。全部、私は信じてしまった。何一つ本当のことなんてなかったのに」
リュクシーの鱗が全身に色濃く浮かび上がり、その鱗だらけの体の中で、彼女の大きな黄金色の瞳だけが、爛々と輝きを放っていた。
まるで、本に出てくる魔物そのものだった。
振り上げたリュクシーの手に、力が入るのが見えた。
「やめろ!」
咄嗟に大声を出した。
その瞬間に、リュクシーの体は青い炎に包まれた。悲鳴が上がる。
違う。僕じゃない。
悪いのは、僕じゃない。
このままルバスタンを燃やしてしまえば、カルミヌスも巻き添えになる。
悪いのは、僕じゃない。
こうするしかなかったんだ。
「ようやく話が分かるようになったな、アジュア」
ルバスタンは薄笑いを浮かべて、炎の中でもがくリュクシーに近づき、彼女を見下ろした。
「ラングルスと同等の動力源となる鉱石を、少し前に見つけてね。グラン・マダルシカの原理もほとんど解明できた。あとは作り上げるだけだ。だから、実は彼女の処分に困っていたのだよ。ありがとう、アジュア。君のおかげで一つ心配ごとがなくなった」
僕のラングルスはリュクシーのものほど強くない。
リュクシーは灰にならずに、ただれて溶けて行く。
炎の中のリュクシーの口元が動いた気がした。
「なんで、アジュア……」
そう聞こえたような気がしたが、思い過ごしだったかもしれない。
悔しくて悲しくて、いろんな感情が噴き出してきた。それが涙となり、次々と溢れて頬を伝って流れていく。
体に力が入らずに、がくりと膝をついた。
「彼女は、偉大なものの一部になったんだよ、アジュア」
ルバスタンは愛しいものを見るように、焼けただれ黒く灰になってゆく彼女を見下ろしながらつぶやいた。
リュクシー、レック、ごめんなさい。
君の命よりも、初めて出来た友人と交わした約束よりも、僕は、カルミヌスの命を選んでしまった。
僕は、聖人にはなれない。
世界は、綺麗ごとだけでは生きていけない。
正義は、強くなかった。
強くなかったよ、レック。
「明日の朝、君の処刑ショーを開催する。村の掟を破り、人魚の不思議な力を利用して、病原体を作り出した危険な科学者として死んでもらう」
まるで海の中で地上から聞こえてくる声を聞いているようだった。
どこかから声は聞こえているが、リアルさが全然ない。夢の中にいるようだ。
自分が泣いているのも、嗚咽しているのも、まるで、外で流れている映画を何か暗い箱の中から眺めているような感覚だった。
「君の危険な研究を応用し、軍事用の兵器へ転用する提言を国王へするつもりだ。宗教の権力はもはや斜陽だ。私はこの国の軍事長官になる。そして、圧倒的な権力を手に入れ、この国を正しく導き、誰かの一存で人が処刑できてしまう世の中を変える」
そんなことのために、あなたはレックや、リュクシーの命を犠牲にしたんですか?
そんなことのために、みんな死ななければならなかったのですか?
偉大な目的のために、死んでもいい命なんてあるのか?
そんなことのために!
そんなことのために!
そんなことのために!
誰か言ってくれ。
誰かの一存で人が処刑できてしまう世の中を変えることよりも、身寄りもなく社会の底辺で懸命に生きている人々の命のほうが尊いと。
誰かそう言ってくれ。
そうだと心から言うことができない僕に、偉大な時代の変革に必要な犠牲だったのではないかと思えてしまう僕に、誰か強く、そんなものは間違っていると、そう言ってくれ。
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