第8話 発見、魔導学園列車《アンソニー》

 慌てて、先頭機関車に駆けつけた。確かに少し先に立派な車体が見える。

 とうとう《アンソニー》を見つけた! 草原の中で静かにたたずんでいる。

 旧式とはいえ勇壮な面構え。連なるいくつもの車両部。黒く塗られた車体の鈍い輝き。数々の魔方陣を踏破した、銀色に輝く車輪たち。これが《アンソニー》!


 鉄道長は慎重にマスコンを操り、《アンソニー》の傍に《鉄尾》を停車させた。

 《鉄尾》が、待ちきれないように珍しくはしゃいで嬉しそうに叫ぶ。


《アンソニー、ご無事でしたか! よかった、本当によかった!》


 しかし――、返答がない。先頭機関車にいる私たちにも風が吹く音しか聞こえなかった。


「……様子がおかしいな」


 鉄道長が険しい声で独りごちる。確かに、二百人も乗っているにしては静かすぎた。

 私も緊張で声が自然と張りつめる。


「……近くに行ってみましょう」

「何があるかわからん。防衛部に護衛を頼もう」

「はい!」


 私は校内放送用のマイクを取り上げた。

 いやな胸騒ぎがする。

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