第4話 危険な任務
あれから三日、本部からの通達で正式に特S級呪いの大地に派遣されることが決まった。
任地に向かうまでは学園列車としての日常がある。つまりは授業だ。
私は車窓から入る風を感じながら、教室車両でクラスのみんなと一緒に授業を受けていた。しかし眠い……。
ガタンゴトンと机に響く列車のリズムが心地よい。頬杖をついてこめかみを揉み必死に眠気にあがらうも、油断するとこくりこくりと頭が沈みそうになる。教師の小難しい話も眠気を助長させるだけの子守歌にしかならなかった。
『であるからして、脳と腸が相互に影響し合うことを脳腸相関といいます。最近の研究では
……脳腸相関、ノウチョウソーカン、のーちょーそーかん……。
……い、いかん。本気で寝そうだ。
私は眠気覚ましがてら、特S級呪いの大地の任務を復習することにした。
ノートに描いたのは、大きな丸である。これが特S級呪いの大地を囲う結界。大きさは大きな街が四つ入るほど。
ちなみに結界は一般人の立ち入りを防いだり、モンスターを出てこないようにする役割がある。
そしてここの呪いを浄化しようと一か月前、二百人の生徒を乗せた
しかし、以後の消息は不明。呪い自体の効果も不明。
子供とはいえ浄伐の実績も高い精鋭たちが帰ってこなかったのだ。何度か捜索隊を派遣するも同じく行方不明。本部はこの地を特S級に認定。以降調査隊を募集しつつ、今に至る、と。
……なんという危険な任務。《アンソニー》といえば《鉄尾》の僚友で、その乗組員ときたら私たちと同等かそれ以上の実力の持ち主たちだというに、帰ってこなかったとは……。
道理で本部が嬉々として、任務を言い渡してきたと思った。危険すぎて他に立候補者がいなかったんだろう。鉄道長は功績をあげるつもりだが、果たしてそううまくいくのか……。
いや、うまくいかせなきゃだめだ。幸い《アンソニー》の行方か、呪いの詳細のどちらかが分かれば任務は成功になる。浄伐はできなくても、この二つのどちらかならあるいは……。
緊張ですっかり眠気も覚めたころ、車内放送が入った。
『特S級呪いの大地まであと十数キロとなりました。総員、モンスターの襲来に備え警戒態勢をとってください。副鉄道長は先頭機関車に来てください』
おっと、呼ばれた。皆も警戒態勢と聞いて、それぞれの戦闘系部活に呼ばれないかとわくわくしている。授業もそっちのけだ。教師ばかりがやれやれと首を振って呆れていた。
しょうがない、私たちは冒険が好きなんだ。
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