side 森山 雪乃

 なんなの?この男は?

 私の雫と、どういう関係?


 終始笑顔を崩さずに対応した私は、それでも男を値踏みする。


 両親が、揃って事故で他界してからもう五年。


 私と雫は、歳が10歳離れた姉妹。

 両親の代わりに雫を守るのが、私の役目。


 過保護と言われても、私は雫を守る!

 何より私は雫を愛している。

 それはもう、溺れるほどにね。


 少しは男に耐性を付けないと、変な男に騙されるよ?なんてスミレは言うけど、変な輩が雫に近づくなら、私が粉砕してやる!


 塵も残ると思わない事ね。


 今日も私の雫は超絶可愛い。

 そんな雫の傍に男?


 なんだか軽薄そうな男だわ。

 粉砕コースかしら?


 あれ?雫、なんでそんな『やめて!』って顔してるの?


 まぁいいわ。今日の所は見逃してあげる。

 超絶可愛い雫に感謝するのね?


 そう思いながらも、穏やかな笑顔で対応する私は、最高の姉よね?


 雫には絶対に幸せになってもらいたいの。

 だからそれ迄は私が守ってみせるわ。


 変な虫が付くようなら、それを払って踏みにじって始末するのは当たり前のことなのよ?


 ちいっ!こいつ今、言うに事欠いて『お姉さん』って言ったわよね。


 お前のような男に、お姉さんなどと言われる筋合いは無い!


 雫、なんでそんな『抑えて!』って顔をしてるの?

 何もしないわよ?雫の前ではね?

 ほら、一部の隙もない笑顔でしょ?


 雫はモテるから姉としては心配が耐えないわ。


 超絶可愛い雫が悪いのよ。

 いーえ!雫は何も悪くない!

 悪いのは、街灯に集る羽虫が如く、雫に集ってくる輩全般ね。


 でもね、私が認められるちゃんとした人なら、雫を幸せにして欲しいって思いはあるのよ?


 もしも、もしもね、彼が雫の事を好きだったなら、私は安心して任せる事が出来たわ。


 でも、そんな人はそうそう現れない。


 だから…


 さぁ、虫共!私を超えて行け!

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