幕間

side 森山 雫

 世界が変わった気がした。


 スミレさんに、半ば強引に押し切られたようだけど、一度パーッと遊んでみるという計画。


 シンさんで本当に良かった。


 何が良かったかって、それは…エッチ、です。


 あぁー恥ずかしい!

 なんで?なんであんなに気持ち良くなるの??


 ダメだ、ちょっと落ち着こう。

 冷静に今日の出来事を思い出して、本当にこれで良かったのか考えなきゃ。


 そうそう、良く良く考えなきゃ!

 良くよ………良かったなぁ…


 ハッ!

 いやいやいや!そうじゃなくって!


 ヒッヒッフー。ヒッヒッフー。よし。


 あの人の話をした後、私はエッチが好きじゃないって言ったよね…

 なのに、なんでおねだりしたんだろ。


 それは、したかったから…したくなっちゃったから…

 だって、最初はキスしてくれなかったけどそれでも凄く気持ち良くて、バスルームでキスしてからは、もう自分でも抑えきれなくなって。


 初めて自分からしたいって思っちゃったけど、シンさんとキスしながらエッチしたらもう頭の中真っ白になって、嫌な事全部忘れられた気がした。


 ああ…思い出したらまた抱いて欲しくなって…いやいや冷静に!


 私はこんなにエッチな女だったのかな。


 いや、シンさんが凄いんだと思う。

 シンさんって、多分モテるよね。


 私としてる間は他の人としないって言ってくれたけど、迫られたら断れないんじゃないかな?


 あー、いやだー!

 そんな暇があるなら私と…いやいや違う!

 もー!なんなの!?違うでしょ?!


 どうしちゃったんだろう。

 多分好きになったんだと思う。


 でも付き合って欲しいとかじゃなくて、突き合って欲し…

 って何を考えてるの私は!


 はぁ、衝撃的過ぎて混乱してるんだよね。


 とにかく、今は恋人とか作るの怖いし、シンさんと決めた関係が私も望む所だから、深く考えないで楽しんでもいいよね?



 シンさんの結婚の話は、聞いててとても息苦しくなった。


 あんなの酷すぎる。

 正直私は、結婚前に別れられて良かったって初めて本気で思えた。


 今までは信じてきた人に裏切られた事がショックで落ち込んでたと思ってたけど、あんな話を聞いたら、そうならなくて良かったって思うのは、ちょっと性格悪いのかな…


 でもね、聞いていて気づいちゃった。

 私が望んでいるのは、愛し愛されて、穏やかな家庭を築く事だって。


 ショックを受けたのは、自分の選んだ彼とは、そんな家庭を作り上げることが出来ないと分かったから。


 多分こう思うと分かっててシンさんも話してくれたんだ。優しいなぁ。


 それともう一つ、気付いたことがあった。

 牽制なのかもしれないなぁ〜って思った。


 私の今の気持ちは、よく分からないけれど、シンさんは、自分と一緒にいても本当の幸せは掴めない、自分は誰も愛せないって、そんな悲しい心情も語っていたんだと思う。


 浮気をすると、誰かが不幸になるんだよね。


 私は絶対そんな事しない。

 幸せな家庭を作りたいから。


 でもシンさんは、それさえもどうでもいいと思っていたみたい。


 確かに、私とシンさんの価値観には、越えられない壁が隔たっているように感じた。


 なんて、真面目な事を考えていたら、要約落ち着いてきた。ふぅ。


 今のシンさんとの関係は、なんなんだろ。

 恋人じゃないし、お互いに好きな人が出来るまでの関係って言ってたけど。


 エッチをする関係。

 あ、セックスフレンドだ。


 あぁぁぁ恥ずかしいぃぃ!

 私、セックスフレンドがいるんだよ?!


 何が『エッチはあんまり好きじゃなかったんですよね…』だ!

 笑っちゃいますね!


 だってぇ、シンさんの気持ち良かったんだもぉぉーん。


 どうしよう。

 頭の中、シンさんとのエッチな事だらけだ。

 折角真面目な事を考えて落ち着いてきたって言うのにぃぃ!


 うぅ〜、頭を冷やそう。

 お風呂に入って、今日もスミレさんの所に行って文句を言ってやろう!


 なんて人を紹介してくれたんだ!って!


 まったく、私はそんなキャラじゃないはずだし、今だけ混乱してるだけ!


 フー、ちょっと落ち着いてきた。


『ぐっち』に行ったらシンさんに会えるかな…


 って違ぁぁぁう!あぁぁぁ!


 冷静に考えられるわけないよぉ!


 シンさぁぁぁん!




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