第3話 出会いと記憶

ケイの場合

出会いの階段まできた。

「え、......莉緒?」

小声でケイはつぶやいた。

すこし長いポニーテール。

ケイよりも小さい身長。

そして、あの服装。

「まちがい、ない.....」

ケイは叫んだ。

「莉緒!」



莉緒の場合

「.....?」

だれかに呼び止められて、後ろを向く。

あの顔。

どこかで見た気がするが、思い出そうとすると頭痛がする。

「........ケイ?」

すこし思い出した。

あの人の名前だけ。

どんな人だったかまではわからない。

ケイ。

それだけ。



ケイの場合

「莉緒、ここにいたのか?いままでどうしていた?」

単刀直入な質問をくりかえす。

莉緒は、迷惑そうな顔でこちらを向く。

「よかった.......」

ケイはへなへなと座り込んでしまった。



莉緒の場合

なにこの人。

変だ。

とっさに莉緒が思った。

「......あの。」

莉緒が言った。

「私とどういう関係なんですか?」

莉緒は出会ってから聞きたかった質問をした。


ケイの場合

「は?」

びっくりした。

なんで?今まで、ずっと、一緒にいたのに。

記憶をなくしてしまったのか?

そう思った。

「.......莉緒。」

とっさに名前を呼んだ。

「俺の家に、来い。」

それだけ言って、伝わった。

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