第43話 月面基地。 その1

『まもなく、月軌道エレベーターに到着ドッキングします。ご乗船の皆様は、ご着席の上シートベルトをしっかりとお締めください』


 アナウンスの少し後に船は急激に減速する。


 月軌道エレベーターは月の静止軌道上に宇宙船用ターミナルを持つ月面までのエレベーターで、船が月面にわざわざ下り立たなくとも宇宙空間内から基地まで行き来が出来る優れものである。


 その軌道エレベーターが見えてくると、さらに船は減速を始めた。身体に大きな慣性力を感じながら、少しずつ軌道エレベータに近づいていく。


 スラスターの噴射音が船内に響き渡り、どんどん船が軌道エレベータに吸い込まれて……


 ガッチャン…………プシュッ…


 大きな機械音と、衝撃が船内に響きまわった。


『月軌道エレベーターに到着ドッキングいたしました。ご乗船のお客様は、シートベルトを外してもらって構いません。現在、接続部に酸素を充填しています。長旅お疲れ様でした。酸素が充填出来次第アナウンスいたしますので、もうしばらくお待ちください』


 とても丁寧なアナウンスが流れた後、客席乗務員キャビンアテンダントが座っていた席から素早く離れ、通路端にきれいに並ぶ。


「さすが、第三艦隊の本拠地なだけあるな」


「まあ、そうだな……、あんなしっかり並んで、サービスも完璧。これがジャパニーズクオリティってやつだな……」


「ちげぇよ、外の事言ってんだよ」


 ラノンはそう言って窓の外を指さす。

 窓の外からは月面が見えており、そこには大きな基地、ふね、滑走路か見えていた。大量の建物が密接しており、所々ピカピカ光っている。


「先進的防衛拠点ってやつなのか、俺らが居た居住区コロニーとは全く違うな……」


「そりゃそうさ、なんたってここは少数精鋭とか言われてる第三艦隊の拠点。強そうじゃなきゃむしろ不安だろ」


「まあな……」


 ラノンは外を見ながら背もたれにもたれかかった。

 確かに大きい。月の表面が全く見えない程に建物が建っており、少し奥には大きな戦艦すらある。


『下船準備完了、お待たせいたしました。下船可能です。本日はご乗船ありがとうございました。またのご乗船を心よりお待ちしております』


 アナウンスがながれ、次々と人が席を離れ船から出ていく。


「さて、行きますか……」


 俺たちは船前方に開いた出口ハッチを抜け、ついに第三艦隊の月軌道エレベータに足を踏み入れた。


             ★   ★   ★


どうも斑雪です。


遅くなったことをお詫びします。少しだけバタバタしてました。

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