第37話 太陽系内地戦。その14

『シュヴァルべ』の艦長ハーマンは『EP-203』から敵の母艦発見の報せが着てから嫌な予感がしていた。


「砲雷長、敵母艦はワープ補助艦でステルス艦と言っていたな⋯⋯」


 ハーマンは砲雷長ほうらいちょうであるアドルフに声をかけた。


「はい、そう聞いています。ワープ補助艦となると撃破は容易かも知れませんね。これで敵の追加も無くなります。あとは援軍さえ来れば⋯⋯」


 そう言ってアドルフは少し安堵あんどの表情を浮かべる。


「いや、ワープ補助艦は一艦では無いと思うが⋯⋯」


「何故そう思うのですか?」


 ハーマンの一言にアドルフは敏感に反応した。


「いや、確信は無い。ただ、心当たりがある」


 ハーマンが感じていた嫌な予感の心当たり。それは少し前に起きた『太陽系外縁での4点同時攻撃』


「あの時、レーダー上の不明点アンノウンは発見されてないままだよな?」


「はい。敵とも分からない為、警戒度4に引き上げられたままです。」


「警戒度引き上げに伴い、第四艦隊主力は外縁天体『エリス』にある基地へ援軍へ向かった。それに合わせたかのようではないか?」


「この攻撃がですか⋯⋯?」


 アドルフは少し困惑する。


「ああ、しかも不明点アンノウンは4点同時に観測されている⋯⋯」


「⋯⋯」


「ここまで揃って敵ワープ補助艦が一艦と言いきれるか?」


 ハーマンは少しニヤついた。あまりにも上手く出来すぎている。


 ・いきなり現れたのは敵もワープしてきたから。

 ・消えたのはステルス機だから。

 ・その後、見つからなかったのは敵が天体群が少ないY軸を通っていたから。

 ・敵の異常なワープ位置と量は補助艦によるもの。

 ・敵は主力が外縁に向かうのを観測したから内地に攻撃してきた。


「こいつはヤバいんじゃないか⋯⋯?」


 ハーマンのニヤけはさらに増した。


  ★ ★ ★

 どうも斑雪です。

 皆様、明けましておめでとうございます。

 本年もどうぞよろしくお願い致します。


 今回は少し補足で説明を入れさせて頂きます。


 このお話に最近よく出てきますXYZ軸ですが、太陽系の惑星軌道面の横軸をXZ軸平面とし縦軸をY軸平面とさせて頂いております。

 なんも説明無しでは訳が分からないと思い補足させて頂きました。

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