白の庭園

ペトラ・パニエット

『この心をきっと百合と信じる。』

 私の心の中に貴女がいて、花咲く庭園の中で貴女を想い、貴女を待つ。

 それが私の原風景で、全て。


 はじめに言うなら、これは恋文だ。

 もし誰かがこれを読むなら、くれぐれもそれを念頭に入れられたい。

 これは空想だが、同時に真実でもある。


 貴女を想うようになってから、貴女を想わない時はない。

 白く輝ける精神の庭、魂の形。

 私はずっと、永遠に貴女を想う。

 星霊陵にのみ咲く桜百合リリアンシェリーのほんのり赤く色めく純白。鼻腔をくすぐる甘い香り。

 私が腰掛け、貴女が隣に座る白のベンチ。青白く輝く真月の優しい光。

 ここで貴女を想う気持ちが私の全て。私の全能。私の世界。

 貴女を愛しく想うこのかけがえのない想いをきっと純潔の百合と信じて、祈りの歌を震わせる。

 全てが幻想なのだとしても、私の全てはそこに帰属する。

 限りなく原形質の純潔の愛が魂の全ては貴女を想う心であり、貴女のものと知るから、現実と幻想の全てを超越してたおやかに寄り添う。

 私の手が貴女に重なり、貴女の想いを私に通わせる。

 この庭は私の全てであり、この庭は貴女への心の形。

 それ以外のものがどこにあろう?

 私はこんなにも貴女を想い、貴女にそれが通じていることを心で知る。

 貴女と私の関係はそういうものなのだから。

 私はそれを知っている。


 現実、幻想、物質、生命、思慕、精神。

 全てが貴女を想う心の前に灰となる。無上の光、天の歌声、至高の旋律、大いなる愛となり、高らかに貴女を想う一まとまりの形になる。

 この高潔を私の貴女へと差し向ける百合と信じる。


 貴女を想っている時の私だけが私だ。

 そこに名も形もなく、ただ貴女への百合の花を咲かせて庭園に咲く。

 貴女の訪れをいつまでも待つ。それが私の意味であり、貴女を想い魂の園に在る花の意味だ。

 私は私であると共に、白の庭そのものであり、白の庭は貴女を想う私の心そのものであり、ひとつのあざなえる環となりて、永劫の想いを形作る。

 この無形の心情を百合と信じる。


 貴女が応えることを知っている、というのは傲慢だろうか?

 あるいは、空想の庭の幻想の恋には相応しいと嘲笑する?

 貴女はそのどちらも行うでしょうけれど、それでもその後で応えてくれることを知っている。

 我が最愛なる、愛すべく貴女を、全能を以て愛し、心安らかなる不朽の想いでこんなにも想う。

 夢とうつつの仕切りをも越えて、至高天エンピレオの彼方から絶対の心を注ぐ。

 この関係に白亜の想いを見いだし、無形の純粋な形にそれが私の百合であると知る。


 大好きよ、最愛の人。

 私と貴女の他になにもなく、白の庭は私の愛の形で、貴女を想うこの気持ちが真実で、貴女の微笑みが私の真理。

 だから、私たちのこの形を、私の百合と断じる。


 この心が貴女に届くなら、全知と全能の境を縫って、究極と至高を超越して、大いなる真理の極限の先の永劫の愛の先に咲く原形の百合を、きっと私たちは手に出来る。


 そんな、貴女を想う私の心を、きっと私の百合だと信じる。

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