第5話 デュアルジョブ
今日は訓練所に行く日だ。
ライルはいつもの様に張り切って俺を起こしにきた。
俺も眠たい目を擦りライルと共に訓練所に向かった。
実は昨日、アイリスやメイと別れたあとライルとある程度の装備は買って置いたのだ。
俺は取り敢えず剣術を鍛えたかったので剣を購入した。
俺はライルといつもの様にたわいもない話をしていると訓練所に着いたのだが……
1人の男がなにやら喚いている。
「俺は適性が2つある。てめぇらみたいな落ちこぼれと一緒だと思うな。俺様の名前は ガバス 様だ!わかったか愚民ども!」
適性が2つか。
この世界では両親が冒険者だった場合、一定の確率で両親の適性を子供がそのまま受け継ぐ事がある。
だから、貴族制度なんてなく一見平等に見えたこの世界にも格差がここで生じてしまうのだ。
だが、みんなそんな奴は無視して普通に通り過ぎる光景にも笑いが込み上げてくる。
「クスクス。可哀想に。」
俺がライルと話していると
「おいっ、お前。今可哀想だとか言って笑ってなかったか?」
絡んできやがった。てか、ライルと小言で会話してるのにどんだけ耳がいいんだよ。魔法か?
「いや、別に。気にしないでくれ。」
「あぁ?お前、俺様が誰だかわかって言っているのか?俺はデュアルジョブの持ち主だぞ!敬意を払え。」
「なぜ?たかが親が冒険者で上手く引き継いだだけだろ?」
まあ俺賢者だし。ぶっちゃけ今更デュアルとか言われても驚けないよなあ。
「くそが。まあいい。訓練所で俺の実力をみせてやろう。楽しみにしておけ。」
そういってガバスは高々に笑いながら去っていった。
「おい、セブン。大丈夫なのかよあいつ。相当怒ってたぞ?目の敵にでもされたらどうするんだよ?」
ライルは相変わらず心配性のお人好しだな。
でもそれがこいつのいい所なんだよな。
「まあ、なんとかなんだろ。俺たちも早くいこうぜ!」
と歩きだした瞬間…
「おーい!セブンー!ライルー!」
アイリスとメイが後ろから手を振りながらやってきた。
「やあ!アイリス、メイ。遅かったな。」
「アイリスの杖を買いに行ってたんだけどなかなか決まらなくて。」
「で、杖は無事買えたのか?」
「はいっ!買えました!」
アイリスはとても嬉しそうにそう言って杖をこちらに見せてきた。
よくみたらアイリスは微笑んだ顔がかなり可愛いよな。なんてそんな事を思いながらアイリスを知らず知らずのうちに見つめていると
「あ、あの……セブンくん? そ、その…私の顔に
なにかついてるかな?」
顔を赤らめて恥ずかしそうに話してくるアイリスをみて
「やべっ。普通にみつめすぎた。なんも付いてないから大丈夫だ。」
それを聞いたアイリスの顔は更に赤くなりなんだか
気まづい空気に包まれたがメイがその空気を
ぶった斬る様に
「あんたらなにしてんの?早くいかないと遅刻するわよ?そうやって2人でずっと見つめあってるつもりですか〜?
お熱いことで〜」
「ば、ばかやろう!そんなんじゃねーよ。ほらアイリス行くぞ!」
「はいっ!」
俺たち4人は訓練所に入るのであった。
俺からみれば普通の世界だが他者から見れば異世界なのかもしれない 保田 智紀 @tomoki530508
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