第3話 力の解放
「なぁ、セブン。所でお前の適性て結局なんだったんだよ?」
俺たちは冒険者ギルドで正式に手続きを踏み無事Fランク冒険者になりライルとの帰り道の話に至る。
「わかんねぇ。まぁ適当に剣とか魔法使えるんじゃね?」
「そんないい加減な答えがあるかよっ!」
俺は余計な混乱や詮索をされるのを避けるように自分の職の事は伏せるようにした。
そんなたわいもない話をしながら家に帰る途中の出来事だ。
2人組の少女が8人のいけ好かないチンピラに囲まれているのが見えた。
「なぁ、嬢ちゃんた達。俺たちのパーティにはいれよ。いい思いさせてやんぜ?」
「しつこい!私達は入らないっていってるでしょ?アイリス早く行こっ!」
「おっと!ここを通すわけにはいかないなぁ。もうお前達に残された選択肢は俺たちとパーティを組む以外道はないんだからよ」
そう言いながら男たちは笑う。
「おい、セブン!あいつら可哀想だよ。なんとか助けてやれないか?」
ライルは俺に必死に訴える。
だが、今の俺たちになにが出来るのか。正直力の使い方もイマイチ分からないわけで。
ここは人を呼びに行くのが無難だろうが周りは見て見ぬふり。
「はぁ…とんだ腐った連中達だ。しかたねえ。ライル!取り敢えず俺があいつらを引きつけるからその隙にあの女の子達を連れて逃げろ。」
「おい!大丈夫なのか?」
「まぁなんとかなんだろ。取り敢えずその手筈で頼むぞ。」
「あぁ!任せろ!」
それじゃあまあいきますか。
正直、策はないが今は自分の適性を信じるしかない。
「頼むぜ、賢者の力。」
「おーい!そこのお兄さんがた〜。そんな大人数で寄ってたかってなにしてるんですか〜」
「あぁ?今取り込み中なんだよ?みてわかんだろ?あっちいきやがれ。」
「そー言われてもねぇ。そこのお嬢さん達が困ってるようにしかみえないんだが。」
「そこの人!助けて!!」
少女の1人がこちらに全力で叫ぶ。
「てめえ。なめた口聞いてると殺すぞ。おい、あのガキどもを殺れ。」
1人の男がナイフを持ってこちらに走ってくる。
「やべっ、流石に街中でナイフとか聞いてねぇぞ。」
迫る敵。逃げ場もなければ15歳程度の俺の力では撃退も不可。一か八か交わして逃げるか。
セブンが敵のナイフを交わしにかかったその瞬間
「なっ!読まれている!?」
「馬鹿が、貴様のチンケな動きなんてとまってみえるぜ。死にな。」
俺は目を瞑った。
終わった…
………
…………
ん……?
死んでない。
目を開けると周りが停止しているが如く止まって見えた。
「オートスキル 絶対領域 を発動。」
なぜか頭の中にその文字が浮かんだ。
「絶対領域? なんなんだ一体?」
このスキルの能力を考えているとまた頭の中に文字が浮かぶ。
「絶対領域ー 自分に向けて脅威になる物(人や物以外にも魔法やトラップ全て)が迫った時に発動。自分自身のみ通常の100倍の速度で移動できる。」
ほうほう。俺が100倍で移動できるから周りが止まってみえるのか。便利なスキルだ。しかもオートかよ。
今のうちにみんなを別の場所に移動させよう。
流石にみんなを担ぐのは無理だったので1人ずつ担いで移動させた。
「よし。これで逃げ切ったな。ただスキルの解除方法が。。。」
いきなり世界の時間が戻りだした。
「戻った。何故だ?」
頭の中に文字が浮かぶ。
「絶対領域発動後、自身で解除するか又は魔力が尽きるまで発動し続ける。解除方法は頭で解除と念じるだけ。」
「なるほどな。なら俺は今魔力が尽きたってわけ。。か。」
「おい!セブンしっかりしろ!おいっ。」
ライルが俺を呼んでいるのは分かるが力が入らない……
セブンは魔力切れによりその場で気絶したのだ。
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