第2話 最強への一歩

彼女のかざす手に反応した水晶が表した文字には


「魔術師」


と文字が浮かんでいた。


魔術師とはありとあらゆる魔法が使えるいわば魔法師の上位の存在。


この世界に数百万人に1人誕生するかどうかの希少な存在なのだ。


その希少な存在が今この街で誕生したのだ。

他の冒険者からしてみれば喉から手が出るほどに欲しい、是非とも自分のパーティに入って欲しい存在なのだ。


皆に注目され恥ずかしいのか彼女は早々に冒険者の手続きを済ませ冒険者ギルドを去っていった。



「まぁ冒険者やってりゃそのうちまた会えるか」

俺は独り言を呟いてると

「セブン。俺たちも早く適性をみてもらおうぜ。」

とライルが表情から読みとれるが如く興奮しているのが分かる。


「あぁ。ライル。俺たちも行こうか!」

受け付けで手続きを済ませていよいよ俺たちの適性をみてもらえる番まできた。


「まずはライルさんからお願いします。」

受付嬢がそう言いライルが水晶に手をかざす。


浮かび上がった文字は


「盾職」 であった。

ライルはどうやら盾職に適性があるようだ。

これで俺が剣士か攻魔法師ならいいパーティになれる!

と考えていると

「では、次はセブンさんお願いします。」

俺の番だな。

俺は手を水晶にかざす。

その瞬間、水晶は強く光り俺の頭の中に何者かが問いかけてくる。


「主の好きな適正を選べ。」

誰だ?今確かに頭の中に直接声が流れてきた。

俺はなにが起こったのか分からず周りを見渡した。


「セブンどうかしたのか?てか水晶がなんで光ってるんだ?」

「私にも分かり兼ねます。こんな事は初めてのことで。」

ライルと受付嬢の会話を聞いていると


「聞こえなかったのか?はやく好きな適正を選べ。」


「誰なんだ?」


「我は水晶に宿りし賢者。貴様には全ての適性がある。だから好きな適性を選べ。」


俺に全ての適性がある?まじかよ。どうする?無難に剣士や攻魔法師にするか?

いや……こいつ賢者と言ったな?賢者なんて職があるかもしれない。


「おい。賢者とやら。お前と同じ賢者に俺はなれないのか?」


「可能だ。だが主は賢者というものがどういう職なのか分かっているのか?」


「いや、わからない。どういうものなんだ?」


「賢者は人の域を超えた力を手に出来る職。それ故に貴様はこの力を手にしたが最後、強大な力により自我を失う可能性がある。自我を保ちたくば力にのまれるな。己がこの力を御せ。貴様が自我を失えば人格は変わり破壊神と化す。それでもこの力が欲しいか?」


危険すぎる。非常に危険すぎる。まじかよ、そんな力を制御できんのかよ俺。


だが、これから先未知の敵ともやり合う事になる。

その時の為に力は必要だ。


「なあ。賢者。因みに俺は賢者になったとして魔法や剣は使えるのか?」


「無論。魔法や剣問わず錬金術や盾職なんでも使用可能だ。」


よしっ!なら賢者というのは皆に伏せておこう。

あまりむやみやたらに力を誇示したくはないからな。


「賢者!俺は決めたぜ!御してやるぜその力!」


賢者は微笑し

「ならば貴様にこの力をやる!この世界を任せたぞ!」


「あぁ!守ってみせるさ!」


俺は賢者になった。

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