第2話
俺はその光景を見た瞬間、驚きとかではなく助けたいという気持ちが勝っていた。
無意識にダンボールの中に入っていた女の子を背に乗せるとすぐに兄の居酒屋に戻る。
「大変だ、兄ちゃん」
居酒屋につくと、俺は思いっきり兄のいるカウンターに叫ぶ。
「どうしたんだよ、そんな大声出し…。今のお前の状況が大変な光景だわ。お前、ついに誘拐を…」
冷静に考えると兄の言っていることは、正しい。19歳の男が知らない5歳ぐらいの女の子を背にしているのだから。
「ちがうよ、とにかく何か飲むものあるか」
「今、オレンジジュースぐらいしかないが…」
そういうと、兄はちょうど良いぐらいに冷えたオレンジジュースをコップに注ぎ俺に渡した。
その、オレンジジュースを女の子の口元に当ててゆっくり飲ませる。
女の子は落ち着いたのか息の荒さがなくなった。
そして、女の子は眠りについた
「しばらく、寝かせておけば治るだろ。てか思温、よく脱水症状ってわかったな」
「まあ、育成ゲームの知識がここで役に立ったのかな」
「なんだ、そのドヤ顔。まあ、日々の日課が役に立ってよかったじゃないか」
「まあね」
「って話じゃなくてどこで女の子見つけてきたんだよ」
俺は、スーパーの帰りにダンボールの中に女の子を見つけたことを話した。
「なるほどな、というかそんな事をする親がいることにびっくりだ。親の顔が見てみたいもんだな」
「そうだな、起きたらいろいろ聞いて一緒に親を探してあげよう」
俺たちは、女の子を起きるのを待つことにした。
そんな中、兄はあることに気づき俺に話した。
「思温、頼んでたお使いどうした。何も持ってないように見えるが」
ダンボールの近くに置いてきたことを思い出した。
「やば、置いてきた」
「馬鹿野郎、野菜腐るだろ。すぐ取ってこい」
そう言われると慌てて外に出てダンボールの近くまで走っていった。
走っている先に4つのレジ袋が無造作に置かれているのに気づき、
すこしほっとした。
無事に買ったものを確保して居酒屋に戻ろうとした瞬間、ダンボールの近くに一台の車が止まったことに気づいた。
俺は気になって近くの柱に隠れて様子を見ることにした。
そこに降りてきたのは、化粧の濃い30歳ぐらいの女性だった。
「…よかったわね、新しい居場所が見つかって」
ダンボールを見ると薄気味悪く笑っていた。
この状況を知っているということは、あの女の子の母親だと確信した。
それに気づいた俺はこの光景をスマホで写真を撮った。まるで悪魔の様な顔をしている。
俺はとっさにその女性に近づいた。
「あの、すいません。あなたは…」
っと声をかけた瞬間、その女性は血相を変えて、車に逃げ込み車をものすごいスピードで行ってしまった。
唐突の事だったので車のナンバープレートを撮る事ができなかった。
俺は、悔しさのあまり唇をかむ。こんなことが本当にあるという現実を受け止めたくなかった。
そして俺は、重い足取りで兄の居酒屋に戻ることにした。
「ただいま…」
「おう、遅かったじゃないか。なんかあったのか」
「この子の母親を見つけた…」
「そうか、それはよかった。で、なんでお前そんな顔してるんだ。寂しいのか」
俺は、無言でスマホを兄の前に見せつけた。
「これって、もしかしてこの子の母親の写真か」
俺は無言でうなずいた。
「予想以上にとんでもない顔してんな」
「逃げられたんだ、この女に」
「じゃあ、これからはどうするつもりなんだ」
「でも、こんな所で諦められない。こいつを説得するんだ」
「それで、うまくいくのか。こんなことする親だぜ」
「それでも、うまくいかなかったら、俺がこの子の居場所を見つけてやる」
俺は決心をした。必ずこの女の子を助けたいと思った。
「ふぁ~、あれ、ここ、どこだろう」
眠っていた女の子は、目を覚ました。
無職が○○○を建てました! シナトゴシ・トー二 @nitonito2727
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