無職が○○○を建てました!

シナトゴシ・トー二

第1話

「先生おはよう~」


「はい、おはようございます。今日も元気だな」


「うん、先生に毎日会えるから!」


今の生活があるのは、過去の俺が一つの行動を取ったことにより、人生が変わった。

子供たちに囲まれて何かを教えたり、経験を与えることがこんなにも幸せだとは、

過去の俺には考えられなかった。

しかし、この幸せをつかむには数々の困難があった。

でも、後悔は全然ない。今が幸せだから。


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このお話は、俺が落ちぶれた無職、つまりニートだった頃までにさかのぼる。

ある一室にこもってスマホの画面に向き合って寝転んでいる俺がいた。

スマホの画面には、モンスターが庭をランダムに行動している姿が映っている。

この頃の俺は、毎日飽きもせずに無料の育成ゲームに没頭していた。

ちなみに育成ゲームとは、画面の中にいるキャラクターにエサをあげたり、

遊んであげて自分好みのキャラを作っていくゲームだ。

こういったゲームをスマホの中に5つほど入れるほど、マイブームと化していた。

しかし、このゲームが終わると俺にはやる事がなくなり、そのまま眠りにつき、

時間が経てば育成ゲームをするような生活を送っていた。

これが、この頃の俺にとっては幸せだと感じた。


「おい、思温(しおん)昼飯にするぞ」


俺はいつものように育成ゲームをしていると床の下から、俺を呼ぶ声が聞こえた。

そして、紹介が遅れたが俺の名前は高橋 思温(たかはし しおん)19歳だ。

ちなみに無職で…、っとこれは最初の方に説明しているので省略させてほしい。


「分かったよ、兄ちゃん」


今、俺を呼んだこいつは兄の高橋 亮(たかはし りょう)25歳だ。

兄は、俺とちがい仕事をしている。

しかも、自分の居酒屋を持つほどの実力者である。

料理はプロ級で経営知識も備わっているハイスペックな奴だ。

居酒屋の売上も伊達ではなく、店の名前は「亮和亭」で、

毎日予約でいっぱいの和食の居酒屋だ。

言い忘れていたが俺は、兄の居酒屋の屋根裏部屋に住み着いている。

俺は、ベットから立ち上がり梯子に向かい、降りていく。

そして、兄がいるカウンターに向かい席に座る。


「今日は豪華だぞ、賞味期限が切れそうな魚で海鮮丼作ったぞ」


器の中には様々な魚がご飯の上で綺麗に並んでいる。

店に出しても恥ずかしくないようなレベルだ。


「いただきます…」


俺は、黙々とその海鮮丼を口の中に入れていく。


「で、感想はないのかよ」


「ん?」


「だからこう、海鮮丼の」


「きれいに魚並んでる」


「普通、味の感想言うだろ。で、味は」


「うまい」


俺は、食レポできるほど器用じゃないと心の中に思い、

兄の呆れた顔を一度見てまた海鮮丼を口に運ぶ。


「そうかよ、まあいいけど。それより、お前いつ働くんだよ。親にも追い出されて悔しくないのか」


「働いてたじゃん、1か月だけど。後、職の話と親の話するな飯がまずくなる」


これでも俺は、高校卒業後は社会人として働いていたが仕事が合わないのと人間関係

を原因に、1か月でその会社を辞めた。しかし、そこまで後悔してはない。

それを親が知り俺を追い出して、見かねた兄が俺を引き取った感じだ。

親にはそれを内緒にしてくれている。


「まあ、今更だよなこんな話」


そんな話をしている内に器の中が空になった。


「ごちそうさま、部屋戻る」


「ちょっと待て、思温。お前に頼み事あるんだ」


「え~、面倒くさい」


「つべこべ言うな、飯もお腹の中に入ったんだ。働かざるもの食うべからずって言うだろ」


「まあ、いいか。ちょうど育成ゲームも帰るころには良いころ合いだし」


「めずらしく聞くんだな。とりあえず、メモとお金渡すから。後、領収書忘れんなよ」


「わかった、わかった」


「思温の初めてのお使いだな、ちゃんと買えるのか」


「茶化すなら行かない…」


「うっさい、黙って行ってこい」


そう言われて、メモとお金をポケットに入れてだるい足取りで居酒屋を出た。


「はぁ、暑い」


外にでるのは実に3カ月ぶりだ。日光の光が強く溶けるくらいに暑い日だった。

頭の中で文句を言いながら足を進ませていき、スーパーに着く。


「やっと着いた、ここまでで結構体力使ったな」


スーパーのクーラーが寒いくらいだったが、外に比べれば天国に感じた。

兄からもらったメモを確認すると野菜の名前が書かれており以上な量にまた、

頭の中で文句を言った。

メモに書かれているものを一式、買い物かごに入れてレジに向かい会計を済ませる。


「領収書お願いします」


この言葉が兄以外に交わした久々の言葉だった。

その、買ったものを詰めていくとレジ袋4つ分になった。

これを見て地獄と感じてしまった。

しかも、外はものすごい猛暑でダブルで地獄と思いながらスーパーから出た。

汗だくになりながら兄の居酒屋にゆっくり戻っている。

道を見渡すと、ダンボールが閉じたまま不自然に置かれていた。

ゲーム脳の俺は、お宝だと思い、レジ袋4つ分を近くに置く。ダンボールに近づき開けた。


「はぁ、はぁ、あついよ。だれか、たすけて」


そこに入っていたのは5歳くらいの女の子だった…。










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