第8話 おやすみ
衝撃的な光景だった。
モルン達は血を流して、一匹残らず死んでいたのだ。
そして死体の海の真ん中に立っていたのは、綺麗な長い白髪を風になびかせる少女。
「おいおい、どういうことだ」
「私は人造人間七百五番、与えられた名はリム」
「お前もあのミラってやつと同じ類か」
「そうかもしれませんね、あんな出来損ないとは訳が違いますが」
「出来損ない、か」
そう放った言葉が、俺の遺言になるとは思いもしなかった。
詠唱なしに放たれた魔法は、俺の心臓を的確に狙って打ち抜いたのだ。
「……っ」
ヒューズは地面に倒れこんだ。
「ヒューズ、ヒューズ! 」
リアの声に、彼は答えない。
いや、答えることができないと言った方がいいのだろうか。
「あなたは不死身であることを知っています、だから私はここで手を引きます」
言葉にならない悲しみと、怒りを。
リアは手に込めて放つ。
「究極電撃魔法!! 」
叫ぶようにして詠唱された魔法は、なぜか発動しない。
「な、なんで……なんでなの」
「私の役割は達成されました、帰還します」
彼女は空間交換魔法を発動させ、その場から姿を消す。
リアは自分が守れなかったことを悔やみ、そんな自分に怒り、泣いた。
そして―
―五年が過ぎた。
二人ぼっちの天才魔術師 しみしみ @shimishimi6666
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます