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「ご両親は久しぶりに会ったあなたの顔を見て、子供の頃からの変化を微妙に感じ取ったのですよ。それとあなたが電話で零した言葉の破片が結びついて願掛けに至ったということにちがいありません」
「そうでしょうか?」
「いや、いや、あなたがそうやっていくら顔をさすっても消えるというものではありません」
「はい、すいません、つい……」
「まあ、それはそれとして、昨日ひと晩考えた結論をお聞きしましょうか」
「はい。あなたにはなにもかもお見通しなので、いまさら隠し事はしません。私の正直な気持を話しますと、彼女――つまり沖田真由に対して、なんらかの形で宿怨を晴らしたいと思っています。いえ、仕返しといっても、それほど大袈裟なことではなく、一度でいいから彼女の悩み抜いた顔が見たい、ただそれだけです」
「わかりました。恩返しの意味であなたの悩みを解決しましょう」
「解決するって、どんな方法を用いるのです? まさか暴力的なこととか、命にかかわるようなこととか……」
「そんなことは絶対にしませんから安心してください。まあどうして彼女が悩むかは愉しみに見ててください。それではわたくしはこのへんでおいとまさせて頂きます」
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