合コンが終わって 3-1

「ごめんね、真由。来てくれて本当に助かった。なんとか面目が保たれたわ。あの端の席に坐っていたのが高校からの私の友だちなんだけど、急に彼女から連絡が入って、メンバーを探して欲しと頼まれたわけ。救世主の真由にお礼したいから、お茶でも飲みに行かない?」

「そんなに気を遣わなくてもいいよ」

「時間ないの?」

「そんなことないけど……」

「じゃあそこのスタバにでも行こうよ」

「いいわ」

 ――

「で、どうだった? 真由」

「なにが?」

「合コンよ。カレシにしてもよさそうなの見つかった? 5人の真ん中にいた小太りの彼、結構真由のこと気に入ってたみたいだったけど……」

「だめよ。アドレス交換しませんかって言われたけど、あんなの私の趣味じゃないから、ごめんなさいって断わったわ」

「無理もない。今回はどれもダサメンだったよね。今度はもっとましなの揃えるように言っとくから、今回だけは許して」

「いいのよ、そんなの。別にそれを目的に行ったんじゃないから、気にしないでよ」

「ごめん」

「いいから。いま私は、どちらかというと、男よりも例の彼女のことが頭から離れないの。ここで好きな男でもできたなら、彼女への追い込みがおろそかになっちゃうでしょ。だからいいのがいなくて丁度よかった」

「どうしても工藤さんを追い詰めるわけ?」

「そう。なんとしてでも彼女に会社を辞めてもらうわ。そうじゃないとこっちの神経がもたないから」

「それにはなにかいい方法があるの? 私にだけ内緒で教えてくれない?」

「そうね、いま考えてるのは、彼女の場合はこれまでのとちがって一筋縄ではいかないから、物的証拠を突きつければおそらく成功するんじゃないかな」

「物的証拠?」

「まあ物的証拠という言葉が適当かどうかは別として、こちらが仕掛けた罠に彼女を誘い込んで、あたかも彼女がやったように見せかけるの。つまり、ほらよくあるじゃない、現金や貴重品が紛失して大騒ぎになった時に意外なとこから出て来るっていうあれよ。そうなればいくら弁解しても周囲の彼女を見る目が変わってきて、ついには会社にいられなくなる、というわけ」

「それってうまく行くかしら」

「うまく行くように作戦は練るけど、もし失敗してもまた次を考えればいいだけのこと」

「そこまで思い込んでるなんて、彼女に対する真由の思いは相当なもんね」

「ふ、ふ、ふ」

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