2-2

「ねえ、真由、ランチなに食べる?」

「私はなんでもいいけどォ、沙保里は?」

「じゃあ、オムライスでも行こうか」

「いいよ、久しぶりだもんね。私オムライス好きなんだけどなぜかこのところ存在を忘れてた。でもあの店結構人気があるから混んでないかな」

「大丈夫だよ、きっと」

 ――

「ああーッ、やっぱりここのオムライスはおいしい。私今度家で挑戦してみよっかな」

「オムライス?」

「そう。沙保里は家で料理するの?」

「するよ。でもあまり手の混んだものは作らない。まあ時間をかける料理といえばカレーくらいかな。カレーは一度作ってしまえばあとは冷凍しておけばいいから」

「そうなんだ。私は料理が苦手だっていうの知ってるでしょ? ここの店の味みたいにはいかないだろうけど、オムライスぐらいは作れたらいいな、と思ってさ」

「そうだね。でもオムライスって、難しそうに見えるけど、意外に簡単に作れるよ」

「そうなの?」

「炒めたチキンライスを、強めの火で卵を焼いて載せるだけ。その卵を焼く時間の長さによって、この店のようにトロトロになったり、硬く焼けたりするの」

「だって、こういうふうに卵を巻かなきゃなんないでしょ?」

「そうだけど、フライパンを逆手に持ち変えてお皿に被せるようにすればいいの。そうせれば巻いたようになるから、あとは適当に整形すればいい」

「なるほど。そうやって聞くと私にもできそうな気がしてきた」

「できるわよ。ところで真由、きょう定時に帰れそう?」

「うん、別に急ぎの仕事はないから大丈夫だけど、なんで?」

「さっき友だちからメールが入ってさあ、合コンの女性メンバーがひとり足りないから探して欲しいっていうの。もし真由がOKしてくれたら助かるんだけどなァ」

「別に予定ないから行ってもいいけど」

「ほんと?」

「でも、その合コンって、何人集まる?」

「5対5だよ。結構イケメンを集めてるって友達は言ってた」

「そういうことなら、ひまだから人数合わせで参加してもいいよ。丁度いま恋人募集中だから適当なのがいたらゲットしちゃおうかな」

「よかった。じゃあさっそくメール送っとくわ」

「ところで、合コンは何時からなの?」

「恵比寿の駅に6時半に集合」

 ――

「どう、工藤さん、仕事捗ってる? もう終業時間の5時45分なんだけど」

「すいません、手こずっちゃって」

「ダメじゃない。ちゃんと約束どおりにやってくれないと」

「あと5ページですから、間ちがいなく今日中に仕上げておきます。ですから沖田さんお先にどうぞ」

「そうお、私用があるから、先に帰るわね。あとはよろしく」

「お疲れさまでした」

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