朝、社内にて 2-1

「おはようございます」

「おはよう。工藤さん、昨日頼んだ園田課長の見積書、やっといてくれた?」

「はい、ちゃんと作成しておきました」

「間ちがいないように拵えてくれたでしょうね。ミスがあると文句いわれるのはこっちなんだからね」

「大丈夫だと思います。課長にチェックして頂きましたから。できたものはプリントアウトして課長にお渡してあります」

「わかったわ。あのさあ、ちょっと頼まれてくれない?」

「はい、なにか?」

「私、ヨーグルトが食べたいから自販機で買って来てくれない? あッ、それから、戻ったら10個のデスクを全部拭き掃除してくれない? 液晶モニターは乾拭きでね。時々汚れが落ちてないことがあるから、ちゃんとやってよね。この前課長にそこを指摘されたから」

「わかりました」

「お金は、あとから払うから、とりあえず工藤さん立て替えといて」

「はい。じゃあ、行ってきます」

「急いでね」

「はい」

「えらく遅かったじゃないの」

「すいません。売り切れてたので、下の階まで買いに行ってました」

「しょうがないわね」

「あのう……ヨーグルト代を……」

「ああ、いま細かいお金がないから、あとで返すわ」


 ――

「真由ちゃん、ちょっといいかな?」

「はい。どうしたんですか主任、朝から難しい顔してますよ」

「プレゼンの資料をパワポで作って欲しいんだけど……」

「大丈夫ですよ」

「そう? 内容はソーラーシステムのエネルギーコスト比較と設置レイアウトの資料だ」

「で、いつまでに拵えたらいいんです?」

「枚数があるから大変だと思うけど、どうしても明日の午前中までに拵えて欲しいんだ」

「わかりました。頑張ってなんとかします」

「さすが真由ちゃんだ。急ぎの仕事で本当に申し訳ない。この埋め合わせはちゃんとするから」

「その埋め合わせって、ご馳走してくれるっていう意味に受け取っていいです?」

「ああ、いつも無理いってるからね」

「愉しみにしてまーす、主任」

――

「工藤さん、ちょっと……」

「はい」

「あのさあ、このプレゼンの資料なんだけど今日中に作成してくれない? 私、パワポあんまり得意じゃないの。その点工藤さんはこういうの慣れてるでしょ?」

「あ、はい」

「いい? 今日中だからね、今日中。できないと困るの、竹山主任に念を押されてるから。工藤さんならできるわよね」

「はい、頑張ってみます」

「だめよ、ミマスじゃあ」

「すいません。必ず今日中に仕上げます」

「そう。頼んだわよ」

「はい」

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