第35話おもちもちもち

材料「もち米」(うるしもち)、ふかした芋(サツマイモなど尚可なり)


杵、うす


臼に、もち米とふかした芋をいれーー杵で突く、、、ただそんだけ


ただそんだけでもっちりとした中に、サツマイモのまろやかな甘みがあって


すこしざらついた感触が不快ではなく、心地よさをくれるーねったぼの出来上がり


「おいしいよお」


かなりおいしい、そう、かなり――年末年始は家に帰るのだが、その前に


呑気に、ねったぼを食らう


そして、それから少しの間だけというわけにもいかず


せっかく久しぶりに会えたのに、、、いちゃつきたい、、、、違う、話し合いたい


というわけで「旅人」になってもらうことにした


旅人には、特製の粉を賭けることで慣れる

「う、、、うん、、、」

手を伸ばすれいじ

「さ、行こう」

行くのはどこへだろうか――未来へ


未来の、学園の寮に来た――やはり、今年もおもちもちもち

ねったぼを作ってる


変わらないのであるーーそして、「行こう」家に帰る


自分の家に上がらせるーーーとはいっても、誰もいなけ度

母さんも、父さんも――いつも仕事でいない


会社の重役と、、、秘書で違う会社にいる


薄ら寂しい家であるーー今月分のご飯代(これが、お小遣い)


自分の家の部屋に連れていく


何もないーーー椅子と机と電灯以外何もない部屋


きれいだが、無機質的なきれいさとでも呼べばいいのか


生活の跡が見えない部屋


「、、、はぁ」倉庫には日用品はおろか、思い出のアルバムもない


空っぽ

「え。

そして、テレビの前に来るーー本が並んでいる、、、だけどそれは破られてる

「ああ、それーーご飯代を抜いて買った本で世でも無駄遣いするなって怒られた」

腕を組む

ただ帰って寝るだけの家ーー子供でさえもそうしてきた家


それは一言でいうなら「空虚」だった

空虚がそこにあった

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