第2話

俺の名前はアウラ・マスタング。

魔法を使うのが普通の世界で、唯一 魔法を使えない国、〝ラノーム〟で戦う、第19小隊の隊長だ。


「あー!今日も疲れたー。お腹もすいたし、私もう寝たーい。」


そして今、俺の隣で人間の三大欲求のうちの2つである「睡眠欲」「食欲」を爆発させているのは、この第19小隊の狙撃手である、カイラ・イェーガーだ。

彼女の武器は〝シモノフPTRS1941〟対物ライフルだ。

彼女は明るい性格だが、それと同時に人を躊躇なく殺せる覚悟を持っている。これは狙撃手にとってはとても大事なことで、もし敵に照準を合わせられたとしても、引き金を引けなかったら意味がないからだ。

その点、彼女はとても優秀な狙撃手と言えるだろう。


「まだ寝られませんよ。報告が残ってますからね。」


そんな彼女の言葉に反応したのは、 ケイト・エイブラムズだ。

彼の武器はアサルトライフルの〝M4A1〟に〝M203グレネードランチャー〟をつけたものだ。

彼は狙撃手であるカイラの〝スポッター〟であり、さらに中距離から援護もしてくれる。更に必要に応じては近距離でも戦えるという万能な仲間なのだ。


ここでスポッターの説明を簡単にしておこうと思う。

スポッターとは狙撃手のサポートをする人であり、風の強さや方向、敵までの距離、さらに敵が近づいて来たときに近距離で戦えない狙撃手の代わりに戦うという色々なことが出来る人がなるポジションなのだ。その点、彼は万能なのでこのスポッターは彼にぴったりのポジションだろう。


「・・・・・」


そして最後にもう1人、先程からずっと無言で俺の隣を歩いているのは、 リリー・カルヴィンだ。

彼女はいつも無言、無表情で何を考えているか分からない。

そんな彼女の武器はライトマシンガンの〝M249〟だ。

彼女は簡単に言うと俺と一緒に突撃して敵のバリアを割る〝特攻兵〟だ。

ちなみにバリアというのは敵が魔法で自分を守る壁のことだ。ずるいとは思うが俺たちの国が魔法を使えないのでまぁ仕方ないと思う。

しかし彼女はこの小隊の中でも1番背が小さく、体も華奢なのだが、この体のどこにあんなに重いライトマシンガンを持って走り、撃ち、銃の反動を抑える力があるのかは謎だ。

もしかしたらこの服の下にはムキムキの体が隠されているなかもしれない。

多分ないと思うが。


そんなこんなをしているうちに、俺らはある一つのデカイ建物へたどり着いた。

ここでは敵を倒したぶんだけ金がもらえるのだ。人の命の〝換金所〟みたいなところだと思ってくれ。

俺らの国では戦う人は大体〝第〇〇小隊〟などと大層な名前が付いている4人ほどのグループに属しているが、小隊などは名ばかりで、軍隊もなければ規則もない。敵が自分たちの国に攻めて来たらアナウンスを流して自由参加で戦うのだ。まぁ参加しなかった場合、自分の国が滅んでも知らないよー。みたいな感じだ。

ここでもらえる金は1人殺すごとに1,000ラノームだ。

今日はいつもより調子が良く、3人も殺せたので、3000ラノーム。

金の単位に自分の国の名前を使うのはこの世界では普通なのだ。

ちなみにパンを一つ買うのにかかる値段は100ラノームだ。

これで今週は食っていけるだろう。


「よっしゃー!報告も終わったし、帰り途中に飯でも食って帰るかー!」


と元気よくカイラが言った。










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異世界銃撃戦 @mikeneko72

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