第24話 あなたの為なら セティ視点

 ぺリティカ王国から『魔波発信所』へ走り、寝転がっている奴等を封印して、扉を蹴破る。音に気付いた敵を全て吹き飛ばし、地図を確認してから、繋がっている所の地面を壊し、一気に地下に降りる。ライルさんが言っていた制御室の扉の前にまで着いた。その時、彼に渡されていた石がルビーのように赤く光る。彼の危険を知らせる光だった。すぐに扉を開けて中の様子が見えた時、体から血の気が引いていく。

 ライルさんが床に倒れ、敵に捕まりかけていたからだ。


「ライルさんから離れろ」


 口から出た言葉は、地を這うかのように低くかった。すぐ近くにいる体格のいい敵に殴り掛かるが、避けられてしまう。だが、その隙にライルさんを抱きかかえ、少し距離を取る。

 彼の体は思ったよりも軽かった。女の人のように華奢の方だと思っていたがまさか、これほどとは。終わったら、彼に料理を作ろう。彼の苦手な油物は避け、鳥のササミや魚中心の料理だ。

 それよりも、今は彼を治すことが大事だ。渡されていた回復魔法を使うと、彼の意識が戻ったようだ。


「大丈夫ですか、ライルさん」

「……あぁ、少しぼんやりするが。」


 焦点がまだはっきりとしていないようが、意識はしっかりしているようだ。良かった、大丈夫そうだ。

 だけど、またライルさんを危険な目に遭わせてしまった……。


「すみません! 俺がもっと早く来れていたら!」

「気にするな。――それに、悪いのは私だろ。

 君の言う通り、一緒にいてもらえば良かったかもしれない。それか、先に合流すべきだっただろう。私の判断ミスだ。君は気にしなくていい」

「いえ! 俺がもっとしっかりしていたら、転移石を壊されることもなかったんですよ!」

「やっぱり、壊されていたか。渡してくれ。直しておく」

「え、はい」

「とりあえず、今は敵を倒すことに集中してくれ」

「分かりました!」


 壊れた転移石を渡し、ライルさんを俺の後ろに隠して二人の敵に向き合う。


「もう! 急に現れたと思ったら、戦闘中にいちゃつきだして! アイリス、さっさと英雄をやつけっちゃって! 僕は回復したけど、まだ本調子じゃないから頑張って!」


 そういうと、体格のいい方は頷き、俺を睨む。

 見た目では分からなかったが、名前からして女の人のようだ。でも、俺は女だろうが、男だろうが関係ない。ライルさんに害する人間ならば誰でも倒す、ただそれだけだ。

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