第22話 ライル侵入中

 建物内に侵入すると、エントランスには誰も居なかった。

 しかし、この建物に誰も居ない訳ではない。私は、自分に透明魔法の弾を撃ち込む。こうすれば、誰も私の存在を肉眼で感知する事はできない。

 とりあえず、目的地に行くために、エントランスにある地図を確認する。どうやら、発信所の地下にあるようだ。瞬間転移装置に乗る訳にはいかないので、体力に自信は無いが、階段へ向かう。道中、黒服の奴等がいたが、私の存在には気付いてなく、そのまま会話をしていた。魔法の効果がしっかり現れているようだ。


「あ~ぁ、俺も王都襲撃の方へ行きたかったなぁ~」

「まぁまぁ。ここに誰も入ってこないように監視するのも大事な役目だから。僕も一緒に頑張るから、ね?」

「……分かってるよ、それ位。でもまぁ、お前と一緒ならなんとかなるか!」

「そうそう! その意気だよ!」


 どうやら、片方は王都の方に行けなかったのが不満のようだ。それを相方である彼に、慰められている様子だ。

 内容はあれだが、敵も普通の人間なんだな。しかし、なぜぺリティカ王国を狙っているのだろうか。今はまだ分からないが、国をかなり恨んでいるようなのは予想できる。そうしなければ、『魔波発信所』を使おうとは思わないだろう。

 

考えている内に階段の前に到着する。体力には自信がないが、階段に通ずる扉を開け、降りていく。

 


――――



「はぁ……はぁ……」


 やっと下りきったが、いつもの運動不足がたたったか、息が切れ、足が鉄のように重く感じる。

 とりあえず、目的地の魔波制御室の前には着いた。感知魔法で部屋に何人いるか調べる。どうやら一人のようだ。しかし、相手は十中八九、魔法が使える加工術師だろう。透明魔法も効かないだろう。すぐ、透明化を解く。戦闘に備えなくては。

 入念に準備した後、息を吸って吐く。速まる鼓動を落ち着かせ、目の前の扉を押した。

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