第20話 勇ましき猛者 セティ視点

「! あ、あなたは!

 レオーラさん!」

「今はレオンだ!」


 振り返ると、そこにはレオーラさんが立っていた。だが、いつものぴっちりとして胸が空いているワンピースではなく、タンクトップにズボンとシンプルな姿だった。どうやら、今回はレオンさんとして来ているようだ。

 レオーラさんは戦いになると、≪金獅子≫レオンとしての姿となる。それは、彼を知っている者ならば誰もが知っていることだった。

 彼の武器は剣でも、斧でもなく、己の肉体である。そのため、過剰な武具を必要としない。体の一部をまたは全て獣化させ、敵を蹂躙する。彼の金色の髪と獣化した姿から、≪金獅子≫という名がついたそうだ。


「とりあえず、話は後だ。お前は今すぐライルのところへ行ってこい!」

「で、でも俺ライルさんがどこにいるか分からないですよ!」

「大丈夫だ。さっきライルに会って、その時目的地がどこか教えてくれたんだ。お前に伝えてくれってな」

「ら、ライルさん……」



 そして、レオンさんから場所を聞き、すぐその場を駆け出した。場所は知っている。しかし、なぜそんな所か俺には分からない。きっと、ライルさんは何か重要なことに気付いたんだろう。だから、俺と合流せず、向かっていったんだ。

 だけど、本当は合流してほしかった、なんて思ってしまう。きっと、そんな余裕は無かったんだろうけど、それでも、一緒に行きたかった。だが、ライルさんが俺の所へ来ていたら、危ない目に遭わせていたかもしれない。これで良かったのかは分からない。だが、今はとりあえずライルさんと合流しなくては。そう思い、走る速度をあげる。

 待っててください、ライルさん。今あなたの所に向かいますからね!


――――



「よし、行ったか。俺達もやるか。なぁ、キリ?」

「それが貴方の命令であれば」

「さぁて、どいつからやってやろうか。死にたい奴からかかってこい!」

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