第12話 疑問

 朝食を終え、今日はどの仕事からはじめようか思いを巡らしていると、彼に話しかけられた。


「あの、ライルさん。気になったことがあるんですが、聞いていいですか?」

「構わない。出来るなら手短に頼むよ。これから仕事の依頼を受けようと考えているからな」

「え、本当ですか! ……って、それどころじゃなかった。

 あの襲撃者は一体何だったのか気になって。もしかして、昨日現れたシャドードラゴンと関係あるんじゃないかって気になって。ライルさんはどう考えているんですか?」


 ふむ、昨日の不審者のことか。全身を黒に包み、性別、年齢ともに不明の人間だった。声も魔法で加工しているため分からなかった。とりあえず、彼女――レオーラが何か分かったら連絡してくれると約束してくれたが、いつ頃来るかは分からない。まぁ、とりあえず私が考えるに……。


「今の所、あの人間とシャドーモンスターの関係については分からない。ただ一つ、気になることに黒い襲撃者は私に襲いかかった。そこには何か意味があるかもしれない。

 あの時、私は油断しており、君も離れていた。明確に殺意を持って襲いかかってきたのか、それとも別の理由があったのか分からないが、私が誰かに狙われているという可能性があるかもしれない。あの人間が1人だけなのか集団なのかで話は変わっていくが、レオーラの判断は正しかったかもしれないな。」

「え、そんな!? じゃあ、しばらく泊まって護衛しますね!」


 しなくていい! という言葉は無視され、宿泊費などの諸々は払います! 出さなくていい! と言いあった。私がもし狙われていたら宿泊して護衛するということに落ち着いた。まぁ、そんなことにはならないだろうがな。


「あ! 武具たちに施してもらった加工術の代金も払っていませんでしたね。 どれぐらい払った方が良いでしょうか?」

「それはサービスだから払うな。というか、全部基礎的な加工術だから、安いぞ。次から払ってもらうから、そんな納得していない顔をするんじゃない」

「次もあるんですか!?」

「パーティーなんだ。弱い武器でモンスターに負けたらどうする」

「弱くなんてないです! でも、そうですね。この鎧と剣は家宝にします! というか、加工してもらったものは全部家宝にしますね!」

「重い!」


 というか思ったんだが、私と君、まだパーティー申請していないだろう。そういうと、驚き固まった。……もしかして、知らないのか?


 どうやら、彼はパーティーは申請しなければ組めないことを知らなかったようだ。仕方ないから、仕事前に魔石通信機でパーティー申請をすることになった。


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