第2話 唐突な提案
「私と君がパーティー? 馬鹿な冗談はやめたまえ。私は子供のころ病弱だったため、かなり非力だ。そして、スタミナも魔力もない男だぞ。戦えないわけではないが、英雄と組むには私では力不足だ」
「それでも構いません。俺とパーティーを組みましょう! 俺がライルさんの夢を叶えます。あなたの求める魔法剣士になりたいんです!」
なんて馬鹿な男なんだ。そんなことをして君に何の得がある。言いたいことは山ほどあった。だが、そんな言葉は口からでなかった。
「そこまで言うなら、君の実力を見せてくれ」
気づけば口からそんな言葉が出ていた。近くで彼の強さを見たいと思ってしまった。本当に叶えてくれるのか、それを知りたい。
「いいんですか!」
「君の実力が確かだというならな。噂で君の活躍を聞いたことはあるが、実際に見なければどれほどの強さか分からないだろう。私の魔法剣士になりたいというなら、その強さと覚悟を私に示してくれ。」
「じゃあ今からでも……」
「すまないが、今日は帰ってくれ。依頼品の納期が近いんだ。明日の朝にここに来てほしい」
「そういうことでしたら、今日は帰って明日のためにもう寝ますね!」
いや、今は夕方だし、早朝に来られても困るのだが。そう言う前に彼は消えてしまった。転移石を使ったのだろうか。
転移石とは、私がつくった転移装置を石にした奴で、安価な物ほど性能が悪く、高価な物ほど良い。種類も多く、使い捨てと魔力を補充すれば何度も使えるのもある。どれを使ったか分からないが、そこは関係ないだろう。
さて、私も明日のために工房に戻って仕事を終えなくてはな。
いつもより仕事を終えるのが早かったことは言わないでおこう。
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