第15話  最後のひとり

翌日、久しぶりに親父が帰ってきた。


「息子よ。心は決まっているか?」

「ああ」


「お父さん、その前に、これ・・・」

ひまわりが、カプセルを9個親父に差し出した。


「私たちが、個々に調べてたやすひこくんの、データです」

「データ?」

「毎晩、君にキスしてたでしょ?その時に君の心の中を読んでたんだよ。

このカプセルは、そのデータ」

あのキスは、そういう意味があったのか・・・


「わかった。調べさせてもらう」

親父はデーターを、インプットした。

「親父?」

「わかった。息子よ。お前の気持ちが・・・」

「そっか・・・なら、俺の口から言う事はないな」

「ああ」


親父は間を置いて話す。


「9人の女の子たちよ。息子の気持ちだが・・・」

女の子たちは、こちらをみる。

どうやら、気付いているようだ・・・


「息子のお世話係は、全員不合格だ」

そう不合格。

僕の性格からして、ひとりには絞れない。

彼女なら、絞るべきだろうが、決めるのはお世話係。


「君は失格だ」

でも、僕の口からは言えない。

個々に良さがある。


そして、短所もある。

その短所を許せることが、長く続けられる秘訣だ。


「お世話係としては、不合格だが。これからは息子の良き友達でいてほしい」

「はい」

女の子は、そろって口にした。


こうして、これからは友達として、生活する事となる。


でも役割分担は同じだが・・・


で、残る一体だが・・・

いや、ひとりと言うべきか・・・


「先生、よろしくお願いします」

僕を先生と呼ぶ。

この子は、最後のひとりで、名前は・・・


「先生、どうしたんですか?今日は何を教えてくれますか?」

興味津津でこちらをみる。


僕は、最後のひとりを、社会生活に適応できるようの育てる任務を授かった。

日曜日の一日だけだが・・・


他の子たちは休みで、思い思いに過ごしている。


「先生?」

「じゃあ、今日は買い物の仕方を教えるね」

「はい、先生」

にこやかに、微笑む。


まだ、際立った個性はないが、今後どうなるか楽しみだ。


この子の名前は、ひな。

これから、どんな鳥になるのか楽しみだ。


その時は。彼女にふさわしい名前を付けてあげよう。


「やすひこくん、ひなをよろしくね」

ひまわりに見送られる。


今は、とても幸せです。

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10人の女の子 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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