第62話別れ

 


「は?」


「今まで育ててくれてありがとうございました。これからは私がレイ様を支える番です」


「いやはなしがちょっと」


「私本当に本当にレイ様が大好きです、愛してます」


「いやまってほんとうに私百合ってわけじゃ」


 極めて好きの意味ですって笑いながらギューっと抱きしめられて


「私はレイ様のお役に立つためにここまでついてまいりました。でも今一番レイ様のお役に立つのは、国を支えることです。大丈夫、大学出てるギフテッドですから」


「ほんとうに、ほんとうにいってるの?」


「本当です。愛するレイ様」


「あ、あ、あ、あめじっとがいなくなるのはいやだよぅ!」


「いなくなりませんよ、サカキ本国で頑張るだけです」


「嘘だと言ってよあ"め"じ"っと"ー!」

「ごめんなさい、もう決めたことです」


「そんあああああうわああああん」



 この日は泣きつかれて眠ってしまい、翌日、急用ができたと言ってエルドガルドを一旦後に。ゴーレム馬車を『ゆっくり』走らせサカキまで。

 馬車の中では終始アメジットとしっぽで遊んでました。23歳の女性といえど、お狐族の仲間意識は強いですからね。19歳から4年も一緒にいたからね。旅している者にとっての4年一緒にいた仲間は重いからね。


「着きましたね」


「4年も一緒にいたんだね」


「あのときオークから助けられてなければこのようなことにはならなかったと思うと、本当幸運です」


「……そうだね」


「農民出身の私に毎日重労働をしてまで学校そして大学に通わせてくれたことは消して忘れません」


「……そうだね」


「大体のスキル行動をさせてもらって、どれもすぐに身に付かせてもらったこともありましたね。私が極めてレアな雷属性の持ち主ということで、時には前線を張ったりしたこともありましたね」


「…………ヴン」


「本当に本当にほんッッッッッッッッッッッッとうにありがとうございました。頂いたご恩は、お返しするなんてレベルでは言葉が足りません」


「……私と一緒に居るという恩の返しかたは駄目なの?」


「駄目です、私と居ると私に頼ってしまうので自立心がまるで育ちません。それは良くないです」


「……そっか」


「旅の終わりに帰る場所、サカキを復興させてみますよ」






「…………じゃあ、そろそろ一時的なお別れをしましょうか。私はサカキの宰相です、かならず会う機会がありますからね。笑って魔導写真に写りましょう」


「……うん」


 パシャッ


 そこには涙でグシャグシャな私と満面の笑みなアメジットが映っていました。






 会えないわけじゃない、会えないわけじゃない。前を向こう、前を。


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