第60話「見栄」
ぽーーーーー
「レイ様大丈夫なんですか、そんなに魔導に力注いで」
「うん、若干MP下がっていく程度のバランスでやってる」
「私はスキルでサクッと取ってしまいましたけど、一般の方が『MP回復速度向上』を取るのって大変なんですね……」
最初の道をドワーフ馬車で動力走らせて飛ばすこと20日、その間ずっと私はMPを使い続けてました。本当にMP回復速度向上ほしいんだよ。
スキルLv0になれば後は勝手に上昇していくんだけど、そのLv0にするのが本当に辛い。とにかくMP使って回復させていくしか道がない。
これを取るために人里離れた場所で修行する魔法使いさんもいるくらいです。
これをとっても戦闘中にぐんぐん回復するってわけじゃあないんだけど、戦闘の合間に1~2回魔法を撃つ余裕が生まれるし、ちょっとの休憩で飛躍的に回復することが出来る。
私の『睡眠・疲れ?なにそれ?Lv2』と合わせれば休憩力が大幅にアップするから、かなり探索探検が楽になるのは間違いないんだ。また、実験しまくって気絶してもすぐ目が覚めるし☆
さてそんなことをしながらググルガンについた私達は、飼葉を買ったり食料詰め込んだりして補給。私達の馬車で20日だから、中継する宿をいくつも作らないと駄目だな……
「ここを飛行交易にするにしても、停留場とかも必要になるもんねえ?」
「……ええ、そうですね。重いものは飛行船で運びにくいですから下道もしっかりと作らないとなりません」
そんなことを喋りつつ冒険者ギルドからまっすぐに向かって馬車を走らせるのでした。
「あれが泉ですね、噴水もあります、沐浴しましょう……ってそこの狐様!一気に素っ裸になって飛び込むんじゃない!」
ザッブーン!
「あー生き返るー。体キレイキレイにしようね☆」
「最近レイ様を口汚い言葉で突っ込むことが多くて私悲しいです……」
「信頼されてる証拠ー☆」
ま、みんなで沐浴しました。きもつぃー!
普段水に浸かって体を洗うなんてことしませんからねー上からのかけ水がほとんどです。浸かると本当に綺麗になりますね。
なーんて事をしていると、確かに道が開いてきました。冒険者ギルドの線上の奥側が進めるようになってます。着替えてその道を行くことに。
尖兵が居るということなので馬を2人で引いて歩きました。
すると
「止まれっ。ここになんのようだ」
「お、尖兵さんですね、えーっと、リットさんがでのでのとの子供を身ごもったからこのかみきれをわたしへぶぉ!「なめてんですかレイ様!リットリオさんが夫であるドワーフのデノンさんとの間で子供を身ごもったので、この文を直接手渡したいということでまいりました。私はこの狐、レイ・サカキの従士、そしてレイ・サカキはこれでもサカキ王国の女王でございます」」
「てへ☆」「可愛さで許されると思うな(可愛すぎるハァハァ)」
「な、なるほど。しかしリットリオさまの話は本当なのか?」
「このペンダントがその証となると聞いて持参しました。あと女王嘘つかない」
「(嘘ばっかり!最近あまり寝ずに政治のことやっていたくせに!!)」
「これは!わかりました、すぐに使いを走らせますので、こちらに部屋がありますのでおくつろぎください」
というわけで木製の小屋に入って一段落。小屋と言ってもそこら辺のホテル並みだし、一つ一つの意匠がすげー凝ってる、さすがハイエルフだわ。
首都まで行くのには時間がかかると言うので一泊したんだけど、出てきた料理がまた素晴らしい。
最高級の豚の半魔物、豚のオークだと思う肉は血抜きがしっかりとされていてくさみがなく、食べればとろける 。味はもちろん別格の旨さ。
野菜は単体で食べられるほどの美味しさがある。
スープの旨さは伝説級だよ。これで小屋の食べ物なんだからなあ。
フッカフカのベッドに包まれながら一泊。あ^ーもうここに住みたい。
なんか尖兵さんが来て
「お待たせいたしました、連絡がついたのでご案内します。馬を用意しましたがいかがされますか?」
「いえ、この馬車に乗っていきます。一応女王馬車ってことでお願いしまーす」
「かしこまりました」
というわけで先導してもらいまーす。るんたったーるんたったー☆
結構距離があるというので、途中で速度UPの魔法を全体にかけてもらいささっと移動。首都にたどり着きました。ゆうても現状都市と言えるのは首都しか無いそうです。
き・ら・び・や・か☆
語彙力が足らないんですけどクオリティ半端ないっすねー。舗装、家、街灯、兵士の服装、すべてが凝っていて美しい。金属加工の像が立っていたりするのはいわゆるエルフドワーフさんの作品かな?
「……イタリアやパリを超えているわ」
「イカリングとなに?」
「なんでもないです、とにかく美しいですね」
「うん、でも女王としてこの後動くからあんまり見ていられないかな」
「そうですか……綺麗なんですけどね」
こんな中を武骨なドワーフ馬車が走っていきます。女王馬車なので宮殿につくまで降りるわけにもいかずー。物珍しい目線が集まってますね。
宮殿の前で馬車が止まったので後ろの搬入口からぴょいっと登場。
あああ間違いなくあちらの陛下とお会いするのに冒険装備だよ今やばーいやばーい!
あばばあばばしている最中にもつつがなく馬車は去っていき。恐らくあちらの陛下とご対面。
初めてかわした言葉は
「すいません、面会用のお洋服に着替えたいのですけれど、更衣室ございますでしょうか。」
笑うなら笑え。
ちなみに帰ってきた言葉は
「ああ、そうですわね、せっかくのあの子の文を渡してくださるのですから着替える時間をお作りいたしませんと。早く読みたいが故に少々早まってしまいました」
でした。
すっちゃかさっちゃか着替えて、簡易王冠をかぶって(本物は王都にある)、マントを羽織りご対面。あちらも着飾ってました。綺麗すぎて表現できない。
「私はサカキ王国女王のレイ・サカキです、お見知りおきを」
「私はハイエルフ国家『アルドメラ』の最高権限者リネット・アルドマーです。ようこそお越しくださいました」
「えーそれではリットリオさんからの文を渡します。……これって普通親御さんに渡すと思うのですけれど、つまりそういう?」
「はい、たしかに受け取りました。つまりそうです、リットリオの名前の意味は公権力の象徴、結束の旗手という意味が込められておりますの、次の担い手ですわね」
「そうでしたか……」
文を読んだリネットさんはみるみるうちに目に涙をためて、読み終わる頃にはポロポロ目からこぼれ落ちていました。こちら2人ももらい泣き。
「あのリットリオが……レイ殿は色々と手を回していただいたのですね」
「あーいえ、冒険者初めて1年目でしたのでリットリオさんには何から何までお世話になってしまって、でので…デノンと結びついたのはたまたまですよ」 あいつでのしかいってねーしな
等と話は続き
「リットリオのことはありがとうございました。それで、女王の服装で来たというのには理由があるのですよね?」
「見栄」
「え?」
「と、友好条約を結べないかなということと、交易を出来ないかなーと」アメジットの目線が怖い
「リットリオの文にもそれは書いてありました。ですがハイエルフは条約を結ばないのですよ」
「でもドワーフとは結んでいますよね」
「ええ、気が合う面が多々ありますので」
「じゃあドワーフと条約結ぶんでそのついでに結んでください。交易はドワーフを経由するか、ドワーフのはぐれ町ググルガンを経由して行いましょう。いい街、良い種族ですよね、ググルガンとドワーフは」
ドワーフを仲介に挟むなら、ということで友好条約と交易が出来るようになりましたーやったー!ググルガン中継の交易はもう可能だそうです。まず芸術品や工芸品の交易ですね。これでサガットに対する輸出品が出来て、サガット金貨が確保できる。
商人もお金ないだろうから最初の買い付けは国が投資しよう。
ググルガンには交易飛行船飛ばさないと駄目だね。自前の。
比較的近い『リュウケン』に邪魔されないように防衛力の貸与も行いたいなあ。うちの国自体は2大国家が守ってくれてるからね。
じゃあドワーフ国家エルドガルドへ出発だー!
(うーん、うーん…… 本当は見栄とリットさんのご懐妊を持ち寄るだけで良かったんだけどなあ、政治要らないよねえ。どうにかしないとなあ)
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