第59話「私の話を2割も聞かない狐様」(ただし大好き)
「えるふ、エルフ見に行きたい、エルドガルド行きながら」
「そんな胸張って主張しても、無理なことは無理です」
「でもどっちもみたい」
「いいですか、エルフというのはですね……」
エルフっていうのは、森の奥で集落を築いている森人間。文明を忌諱してるわけじゃないけどあまり必要としない種族。外敵に敏感。割と背が高い。工芸品は高く売れる。
「そしてドワーフというのはですね……」
ドワーフっていうのは土の中に工場を開いていることが多い土人間。結束が強くなんでも作っちゃう改良しちゃう製造種族。
文明を大いに利用する。気さくで訪問者をすぐに外敵にはしない。男も女も150cmくらい。武器防具の工芸的作品は高く売れる。
「なるほど、工芸品は高く売れるんだね、交易結ぼう」
「話の8割も聞いてませんねレイ様」
流石に冒険者ギルドもエルフの村に支部を置くことは出来なかったようで、情報がない。しょうがないので諦めて
ハイエルフのリットさんに聞いてみようっと。りっとさぁぁぁん!!
「んー、この街からなら……新たに交易が開始された街ググルガン経由する形になりますが、ハイエルフの共和国に到達できますね」
「おおお王国あるの!?」
「はい、ハイエルフはその希少価値性から、一族が団結して国家を作り上げてますよ。私みたいな共和国から抜け出したものも、割といますけどね、ふふっ。みんな最終的に国に帰って知見を共有して、国の発展を支えるのですよ。」
「なんかドワーフみたい」
「あ、はい!ドワーフとは中が良いです。気質が似てますからね。よくドワーフとハイエルフで子供を授かって、「ドワエル」や「エルドワ」なんかを出産してますよ。小さいままのエルフとか最高に可愛いですし、エルフの身長のドワーフが作る工芸品は一級品ですよ。」
ほへーガイドブック『知られざる真実、ハイエルフとドワーフの関係。信じるか?信じないか?』には険悪な関係って書いてあったのに、現実は違うねえ。本がまずかったかな。
あれ、
「そういやリットさんお腹……」
リットさん顔を赤らめながら
「ええ、でのでのさんと交際に発展いたしまして、めでたく子宝を授かれそうなのです」
こ、こ、こげな美女にたらしこむとはでのでのゆるすまじ!!でも本当に親身になって武器を作ってくれたので良しとします、でのでのの武器は良かったぜ……!裸にされたけどな。
じゃあささやかなお祝い会を開こうということになって、日にちを合わして集合。アンナさんは遠征中で来れなかった、残念。
「今日は私の従士のアメジット特性の豚のオークのバラ肉の煮込みだよーそれと付け合せにほろほろじゃがいもと……」
豚のオーク!これはオークなんだけどどこをどうとっても豚で、全部位が美味しく食べられる幻の豚なんです。ここのオークは2本足で歩く牙付きの動物程度の意味ですね。オークオーガじゃないよ
ちなみにイノシシのオークも存在します。詳細はまた後で。とにかく豚のオークはうめえんだよ!!
豚のオークなんてめったに食べられるものじゃないので大好評!残ったソースをパンにつけて食べたりしました。
「ごちそうさまでした。本当にとても美味しかったです。まさかあのレイさんがこうやって帰ってきてくれるとは……冒険者支援業務の冥利に尽きます」
「でのでの」
「今日これからの冒険者の話をしてもしょうがないと思いますので、明日お伺いしますね」
「ええ、行くルートバッチリ考えておきますわ」
そんなこんなでこの日はお開き、次の日冒険者ギルドに伺いました。たーのもー
普通にカードチェックされて、普通にリットさんの受付に。
あれ?私クラスだとコンシェルジュになるんじゃなかったっけ?
「私がコンシェルジュやっているんですよ、そうそう熟練冒険者が来るような場所ではありませんしね」
「な、なんという……道理で初心者の私の手ほどきが非常にスムーズだったのですね。アンナさんと組むときも、さり気なく非常に細かい条件をつけてくださったと聞いてますし」
「ふふっ、お褒めいただきありがとうございます。それではよろしいですか、まずは『ググルガン』を経由して西に進みます。中央にある冒険者ギルドを目印に、可能な限り真っすぐ進んでくださいね。何日とは断言できませんが、数日ずっと真っ直ぐ行くと噴水がある泉が見えてきます。そこで皆さん水浴をしてください、ポニーも例外なく。」
「ふむふむ」
「次は沐浴をすると魔法で見えなかった道が見えてきますので、そこを歩いていってください。途中ハイエルフの尖兵が停止させますので、そこで私の名前リットリオと、夫であるドワーフのデノンとの間に子供が生まれること、その文を持ってきたこと、サカキ王国としては友好関係を崩さず文を手渡したいと伝えてください。まず間違いなく通れます」
「なるほどなるほど」
「だめならこのペンダントを見せれば大丈夫です、ハイエルフが友人に渡す友好の証ですので。特殊な魔法がかかっていて、意図しない方法で奪われたときにはその魔法が消え去りますから、あちらでも判別できるはずですよ」
「アメジットメモった?」
「私にやらせる気ですね、女王なんですからご自身でやってください」
「そんなー」なみだじょばじょば
「要約すれば、ググルガンを西に抜けて沐浴して、魔法の道を通ってリットリオとその夫デノンの間に子供が生まれそうだからお手紙を預かっている、直接手渡したいのですがどうですか、私サカキの国の女王なんです、ってことですよ。お守りとしてペンダント」
「レイ様は非常に素晴らしいご友人とお会いしたのですね、大変ホッとしております」
「そうでしょ!アメジットって凄いでしょ凄いでしょ。凄いんだよーなんたってね略」
「私の話聞いてんのかなこのお狐様」
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