第39話進むだけが旅じゃない



 何はともあれ勉学。一旦ブキョーへ戻ることにしました。まさか旅の途中で戻ることになるとは。進むだけが旅じゃないんですね。


 今回はお金もまあなくはないのでお空でひとっ飛びします。実際はあの下道をもう一度通るのは無理があるからです。お金の問題じゃない。


「すごーい、飛んでますよ!」


「きゃーきゃーきゃー!今回のはパールのために一番静かな船にしたのよー!本当静音ー!あ、中継都市挟まずに直行できるからね!はやーいはやーい!きゃーっきゃーきゃー!」


「レイ様……?」


 キャピ。ブキョーに着きました。ギフテッドは今の所秘匿しないといけません。なので今回お話するのは……


「なんで私なんですかー! いくらなんでも荷が重すぎます! 」


 そう、みんなのアイドルヤミちゃんです。


「まあまあ。とにかく勉強と鍛錬のメニューを考えようよ。語学はだいたい取らせたいし、魔法も可能な限りの学校に入らせたいよ」


「総合大学がありますのでそちらに入学されることをお勧めします。前段階として学校に通いましょう。どちらもギルド肝いりにして、6ヶ月と6ヶ月の集中トレーニングです。ギルド特別の肝いりなので、在籍中はエリート面してください。お金かかるんで指名依頼こなしまくってくださいね。」


 はーい、ついでに狩猟もダンジョン巡りもしようっと。


 私の19歳の1年は多分これに費やされることになりそうだね。そういえばヤミちゃんって何歳なんだろう?26くらい?


「まだ23ですよ!! 」


「23でコンシュルジュ! 凄いです! 」目キラキラ


「うう……目線が眩しい……」


 ひひひ、アメジットの純粋さは素晴らしかろう。


 さて。ここからお互い猛烈に頑張る時間が襲いかかってきました。

 私は膨大な数の指名依頼をこなしてお金を稼ぎ、アメジットは猛烈な量の勉学と練習をこなす。

 どちらも厳しいけどアメジットのため。自立できないギフテッドは災いのもとです。


「レイ様、今日はこんな事がありました」


「レイ様、今日はいじめられてしまいました……」


「レイ様、やり返してきましたよ! 」


「レイ様」「レイ様」「レイ様」「レイ様」「レ」「レ」「レ」「レ」「レ」「」「」「」「」「」「「「「


「ぷおあー! ヤミー! 過密日程だぞこれー! 謀ったなー! 」


 ただしお陰さまで速攻月日は流れ、学校は卒業。

 総合大学へ入学しました。


 この頃からアメジットの体に変化が起こり始め、2次成長期に入ったのかとても女性らしい体つきになってきましたよ。


 身長も伸びて、測ったら165.2cmありました。もうちょっと伸びそう。胸も多少出てきたし腰もくびれてきたかな。


 大学でもナンパされることが多くて、特に外国の小息女からの勧誘が凄いみたい。ナンパか、それ。


 レイ様の従士以外なるつもりはないと言って、ならば決闘だーと、私が決闘を申し込まれたことが何度かあったわ。


 成長率が良いとはいっても私Lv20で、しかも低身長なので決闘には不利。全部国家主席に泣きついて解決しましたわ。


 泣きつくのもタダじゃない。もっと採取頑張らないと!!


「アメジット、今何が『出来ない』の? 」


「レイ様と結婚することです!! 」


「そりゃ永久に無理だわ。」


 アメジットは学校大学一筋なので魔物は倒しておらずLv16のまま。しかしそれ以外はもうとっくに私を追い抜いているというのにレイ様レイ様なんだよね。

 別に構わないけれど、育てた後ちゃんと別れられるのかな。自立しないとねえ。




 私の方にもささやかながら大いなる成長があり、狩猟で経験値を稼いで、遂にLv20の壁を突破、Lv21になりました。

 Lv20には大きな壁があって、一般的な人はここで止まることが多いんだよねえ。


 しかし勉学をブキョーでやらせてよかったな。

 なにせ全魔法にプロフェッショナルの適正があるスペシャルな子なので何でも出来るし魔道具とかも使いこなせる。


 錬金も気付け薬とか超長期保存ポーションとか何でも作っちゃう。

 科学にもついていけて、オーブのバージョンを3から4に引き上げちゃったり。すぐに改良し始めて今はブロック3まで進んでるしね。


 どこの人も企業も貴族も欲しがる人材だけど、私が国家主席の超仲良し採取及び狩猟人ということが発覚してからはどこも手が出せてない。


 ブキョーの1人に権限が強く集中する体制のおかげだね。



「アメジットは大学卒業したら何がしたい? 」


「レイ様のお側についていきたいです! 」


「うーん、それでも良いけどもっと良い何かがある気がするんだよな」


「私いちゃ駄目ですか? 」


「そんなことはないよ、旅は道連れ世は情けだし。そうじゃなくて旅をわざわざしなくてもってところかな」


「逆に旅ならどんな事も起こりえるから、私の能力が存分に発揮できると思いますよ」


「そういう部分はあるねえ。しかし私の従士で良いのかいよ」


「従士以外ありえないです、仮にパートナーだったら恐れ多くて申し訳ないです!! 」


「いやー、それも良いんだけどさあ、アメジットがやればそれで全部済んじゃうから、私の存在意義がないんだよねえ」


「!! それは……確かに……」


「まあ、何をやるにせよアメジットは自立できるね!安心安心」


「……レイ様のお側にいたいです。」





「うーん、オークに盛られてる時に助けたとはいえ、この懐きは一体……?」


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