第35話じいさんのニッコリ笑顔のエアロビクス


 じいさんのニッコリ笑顔のエアロビクスというのはなかなか見ていてつらいものがある。


「はぁはぁ。これは「軽く引けるボウガン」じゃな。文字通りこれ自体は引くのは重いヘビーボウガンクラスじゃが軽ーく引ける。軽ーく引けるせいで大きさも小さくできておるの。」


「なるほどやったあ。遠距離らしい遠距離なかったんですよね。弓はかさばりますし。ボルトと矢筒を買って運用します。」


 3回鑑定をお願いして分かったけど、どうも鑑定士はダンスを踊って鑑定の神様からの啓示を受け取って、それで鑑定ができるっぽいね。大変だ…… 。


「レイ様、こんな豪華な装備してよろしいのですか?」


「割とそんなに豪華でもないよ。コートオブプレートだし。」


 この子はオークから持ち帰った2人のうちの1人、アメジット。いい名前だよね、アメジストからとったんだって。


 両親が亡くなって、行き場がないからって私に従士になりたいって頼み込んできたんだ。まだ15で子供。本当に真剣に頼み込まれて、狐の子供好きもあって私が折れた。


 あと1年で冒険者カードとれるから、それまでは従士、それからは……自由にやったほうがいいんじゃないかな。160cmくらいですらっとした体をしています。15だしもうちょっと伸びるかな?顔も鼻筋通った感じでよし。


 今いるのはスンケイ。精鋭部隊を送り込んでくれたお礼を兼ねて一度戻ってまいりました。そしてここでアメジットの装備を整えたってわけ。弓が使えるっていうので、ボウガンと槍と剣持たせて自衛ぐらいできるようにしたよ。


 弓使いなのにボウガンなのは、矢弾の共通化のためです。


 後持ち運び。普通の弓はデカいし、複合弓なら小さいですがやはりお高い。


 ボウガンなら攻城戦に使うようなヘビーボウガンじゃない限りまあまあ持ち運べますからね。え、魔道銃?無理無理無理無理カタツムリ。


 アメジットの防具を作るのに時間と経費が経ってしまいましたがその間採取で儲けたので諸々含めて差し引きゼロってことで。


 リュックサックに取り付ける装備がめっちゃ増えましたが(ボウガンと矢筒)なんとかなるっしょー。どこかで魔法の袋が手に入るさ。


「それじゃあいくよ、アメジット」


「はい、レイ様!」


「慣れないなあ…… 。」


 2人を乗せた荷馬車は一路一つ目の飛行船整備都市へ向かうのでした。


 村を経由すること5つ、1つ目の街につきました!街でしか積載できないものもなくはないので、ここで数日止まります。


 これを後2回で飛行船の一日か。今のところ1日1村でこれてるから良いけどやはり下道は遅い。


 さっそく冒険者ギルドに行ってなにか依頼があるか調べました。特に困ってないそう、それなりの数の冒険者がいるっぽいですね。固定買い取りに肉があったので、アメジット連れて狩猟に出かけました。


「あ、また逃げた。」


「すいませんレイ様、なかなか気配を消しきれなくて」


「やっていれば嫌でもなれるよ、今日のご飯がかかってるからね。」


 狩猟動物であるお狐様の血を分けてもらった私は別として、アメジットはトゥルーヒューマンの農民、気配を消すのも一苦労ですね。


 捜索もさせて、今日はなにも仕留められず。こんなもんなんだよ普通は。ほんとさーこれくらいが普通だっての。


 この日はギルド紹介の宿に泊まりました。アメジットギルド会員じゃないのでギルドの宿に泊まれないんだ。紹介してもらった宿は1部屋2ベットで4銀貨で泊まれたよ、久しぶりに安い。


 次の日は採取。アメジットにはこういうお仕事で生計を立ててもらいたいな。狩猟はたまに死ぬ危険がやってくるからね。


 例えばバイソブーが逃げずに立ち向かわれたら逆にこちらが逃げないといけない。アメジットに逃げ切れる足はない。


「レイ様、冒険者って結構地味ですね」


「地味なことをやれているのが一番だよ。」


 今日は熟練採取人パワーで2金貨もらったので、1金貨崩してご飯たべに。


「働いた後のご飯はおいしいねー」


「そうですね、でもレイ様と一緒に食べればなんでも最高に美味しいです。」



 2日で馬車への各種積載が終わったので次の都市へ!しかし2人だとちょっと狭いねこの馬車。水と食料で荷積み部分圧迫しちゃう。買い換える気はないけど。


「そういえばレイ様ってどうして冒険者やってるんですか?」


「ん、お家騒動に巻き込まれて。16と同時にカードとって逃げ出したよ」


「あわわ、そうなんですか。でも生まれは高貴なんですねー凄い!」


「凄くもないよ。血が何か後押ししてくれたことなんてあんまりない。お狐様は別だけど」


「お狐様ですか」


「うん、私を狐族にする代わりに少しだけ強くさせてくれた神様。元は私トゥルーヒューマンだよ」


「えーーー!?」



 馬車は走るよのんびりと。



 今回は順調に2番目の街へたどり着きました。といっても、途中オルクの村を見つけたのでこの街で通報しましたけど。


 え、殲滅?私1人なら今の強さなら出来るかもしれませんけど、アメジットが死にます。通報の報奨金だけいただきました。50銀貨。だんだん安くなってきてる


 。宿も3銀貨でいいって。1部屋2銀貨で1人追加でプラス1銀貨ってところか。


 そろそろ金貨の両替したいけど、飛行船交易都市につかないと良いレートで交換できない。交換が早すぎてもブキョー金貨支払いのみとかあるから困るしね。



「だんだんベッドの質が悪くなってきてませんか、レイ様」


「魔法の品の国とはいっても、技術は大幅に遅れてるみたいだからなあ…… ここは単純に交易が寂れて質が低下しているだけだと思うよ。」


 まだ1つ目の飛行船交易都市についてないのですが、大丈夫なんでしょうか。


 この街ってなんだかんだ言っても交易都市に近いため、栄えてないわけではないんです。


 ただ上を飛ぶお船の中に入ってる物の物価が高いだけなんですよ。あんまりここ向けの品はないだけなんです。


 野山の恵みが豊富なため、採取しまくって小銭稼ぎ。狩猟もアメジットが一羽ですが鴨を仕留めました。やったね!


「解体はやったことあります!まず毛を剥いで……」


「私よりいけるかな?狩猟は任せちゃおうかしらね。」


 普通動物によって解体方法が違うためそれぞれの熟練が必要であるが、ここはスキル神のいる世界である。スキルがどうにかしてくれる。


 この日は鴨肉をシーズニングして、後日美味しくローストして食べました。うまー


「さて、あと3日で交易都市だよ。道も良くなっているからすんなりいけそうだね。」


 やっぱ都市近くっていいわあ。道が良くなり振動が減り、速度もアップしました。サクッと進んで


 やって参りました飛空船交易都市!再度スンケイを出発してからだと13日間の旅でした。オークトラブルを含めると20日くらいだね。


 ここを抜けると5日であちら側の飛行船が停まる衛星都市につくはずです。『必見!飛行船下道ルートその100!!』より。


 冒険者ギルドも勿論あるので訪問。何かありますかー?サンクチュバリヌスへの道で注意点とかありますかー



「え、道がない?あるんじゃなくて無い?」


「ええ、どうも今の国王が道を交易ルートとは認識しておらず、軍隊が通行するところと思っているそうでして。つい一昨年から工事が始まって今じゃ荒れた道だけですよ。美味しいものは食べたいのかそれとも臣下がギリギリで止めたのか、飛行船都市は存在しておりますが。」


 こ、こうえきを、こうえきをつぶ、交易を潰すだなんて。なんて阿呆なんだ。行くのやめよかな……


「魔法の品の一大産地なので、交易をあまり重要視して無いのでしょうね」


「……冒険者が魔法の品をゲットする機会ってありますか?」


「ありますよ。様々な遺跡やダンジョンがありますからね。」



 さて、積載も終わったので、行ってみますか、荒れた道を。魔法の品を、ゲットだぜ☆

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