第29話俗に言うスローライフ


 修復中は生活魔法以外の魔法の使用を禁止されました。つまりは上級生活魔法と無属性か。どうしても負担がかかるからだって。生活魔法も必要最小限に抑えるように指示されてます。


 なのでお金稼ぎは採取メインで、たまに狩猟もやってる程度。バイソブーっていう牛の仲間のかなり大型の魔物がいて、それを狩猟してます。デカいのは最大3tもある。さすがにそれは狩猟できない。魔力転換できないから。


 遺跡は魔法無しは危ないのでいけず、この2つばかりですね。採掘はこれまた魔力転換が出来ないから効率悪くて…… 。護衛なんて出来る日程じゃないです。幸いきつい仕事はしなくても良い生活を送れてますしねえ。


 採取もポニーのパール君と一緒にゆらゆら揺られて出発し、適当に薬草や漢方の素、樹液などを採取。ゆらゆらと揺られて帰って、買い取ってもらえば、はい、5金貨。みたいな感じでして。


 これが俗に言うスローライフなんでしょうか。


 ただ、最近ワングの酒癖が悪くなってきました。朝帰りも良くします。こんな子じゃなかったんだけどな。昨日は大声で怒られました。怖いなあ、もう。


「……コンシュルジュとしては申し上げにくいのですが、友人として進言します。別れなさい。」


「えーでも、ワングこれで良いところもあるんですよ、基本は優しいし。」


「破滅的な最後を迎えます、別れなさい。ちょっとカウンセリングの予約を入れますね。かならず行くこと。」


「ええー。」


 なんか腑に落ちませんがヤミちゃんが言うならしょうがない、カウンセリングに行ってみましょう。


「なるほど……一つお聞きしますが、ワングさんは現在働いていらっしゃいますか?」


「働いてますよ、モンスター駆除が専門なんです」


「そうでしたか。それで、その収入でご自分の支出をまかなえていますか?」


「んー、私が支払っているのと混ざっているのでわからないですね」


「そうですか……一度計算してみてくださいね。そういえばワングさんの種族はなんですか?」


「狼の血が強い狼亜人ですねー背が高くてかっこいいんです(どやー)」


「狼……血が強い……狼亜人……確かレイさんはチェイ先生のところでご治癒なさっていらっしゃいましたよね、チェイ先生へのお手紙を書きますから届けてしまってもよろしいですか?」


「構いませんけど。それでワングの良いところはですねー…… 。」


 なんかワング自慢になっちゃったな☆


 翌日先生のもみほぐしがございました。


「やあレイちゃん、これから毎日薬を出すので必ず飲んでもらえるかな?もみほぐしもちょっと時間増えるよ」


「??わかりました。」


 ちなみに薬草学と知識で鑑定を行ってみましたが解毒剤に近いですね。魔導経路のゴミが溜まっているのかな?


 瞑想してタイキョック剣してもみほぐして鍼してお薬飲んで二ヶ月。だんだん今の現実を把握し始めました。




 ワング、君は私のヒモ……いやいやそんなことは。




「やっとおわかりいただけましたか。」


「コンシュルジュのヤミちゃんがいなかったらこういう考えには…… 。でもでも、やっぱり彼には良いところもあって」


「今の生活を必ず続けましょうね。薬捨てちゃ駄目ですよ。」

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