魔導経路を治そうか

第27話『その歴史10000年。偉大なる文明武侠気功文化圏』


 プロジェクトとしては成功した、「オーブコアの原理解明および生産化」、でも私には大きな障害が残っていたのでした。


 パワーが入らねえ。いや、いつもどおり起動するし形状変化や属性付与は出来る。でもそれのパワーレベルが上がらないんだよ。オーブコアも5個までしか浮かない。


 なにかが障害ボトルネックとなって動きを鈍くしているよ、これ。他の無属性の人はパワー上げられて、接触時のダメージや上がったり、オーブから属性スローワー出したりと結構愉快な行動をさせているんだもん。


「これは私達の分野ではないですねえ……道具に効率よくパワーを送り込むとなると、魔道具研究所でしょうか。気功をやるのもおすすめですよ。」


「わかりました。魔道具研究所に行って、気功の先生に師事してもらって、オーブを扱いこなせるようにします。」


 まずは魔道具研究所。即座にアポが取れた。


「この度は大変申し訳ございません!」五体投地


「いいからいいから、早く魔道具的アプローチで私とオーブの関係を解析しましょう。」


 頭をグリグリやってる。グリグリグリグリやってる。


「早く解析しないと……」


「は、早くしないと……?」


「国家主席怒っちゃうよ☆つい先日もグリフォンの卵を採取して献上したんだー、凄い喜んでたよ♪」


「ヒイィィィィィ」


 憂さ晴らしはこれくらいにして、解析をお願いしました。


 もう技術は出来上がっているので、どうやって私の魔法的エネルギーがオーブコアに行って、コアがエネルギーオーブとして展開してるのか、エネルギー形状の部分の破壊力強化や、形状変化した時のエネルギーが密になる具合なんかを調査していきます。


 その結果


「レイ様の魔力とMPがほとんど伝わっておりません」


「なん……だと……」


 技術作成するときは無属性技術者がいたので、そういう根本的なところに目が向けられることはなかったんだよ。


「私とこのオーブコアたちの相性が良くないってことでしょうか」


「いえ、恐らくどんな魔道具も相性が悪いと思います」


 試しに魔力を込めて発動する魔道具を複数個起動させてみましたが、ほとんど起動しないか微弱な反応が出るだけ。これは一体どういうことだってばよ?


「ここからは武侠と気功の織りなす国の推論になりますが、魔法や気功にも体内に流れる水路や回路があると考えておりまして魔力経路とよんでおります。それを使って武侠家や気功士様たちのあの素晴らしい行動ができるとの研究が盛んにおこなわれています。レイ様にはその魔力経路がないもしくは損失しているのではないかと。なにか過去に重症を負われたことはありませんか?」


「あー、覚えはある。今は綺麗だけど体内まで焼かれたことがあったなあ。あれでかな」


「それは……一度魔法と気功を同時に診てくれる方がスンケイにおりますので、その方にて体内の流れを見てください」


「場合によっちゃあこれ以上の魔法系統の能力向上は望めなくなる、ですか」


「…… 。」


 ううーん、これって無属性魔法にも当てはまってるよねー?切り札が切り札じゃなくなる時が来たら、冒険者引退しどきだわ……お狐様ぁ……



 診てくれる人とのアポイントの日。ちょっと憂鬱。


「会う場所はその人の道場だけどやっぱり不安だなあ。」


「大丈夫だ、仮に魔力経路がダメなら俺がお前の武器になってやるよ。」


「ワング……!」目うるうる


 お互いギューっと抱きしめてから私はその道場へと、ワングは飯を食いに私のお金で市場に向かうのでした。



 向かった先はスンケイの『チェイ・チェイの一般人向け気功道場』なるところ。結構あやしい感じの文字列なのですが大丈夫かな。


「こんにちはーアポイントの時間付近なので参りましたレイと申します。」


「はい、少々お待ちください。……はい、3時からですね。少々お待ちください。」


 ちょっと待つのか。じゃあその間にちょっと解説。


 この国の前の前の前くらいの国が古代魔導文明が作った『時計』を復刻しており、街の都市のいたるところで時計が動いてます。


 60秒で1分、60分で1時間、24時間で一日。この概念はこの武侠気孔文化圏から輸出され、世界標準となってます。古代遺跡から取れる時計も同じ概念だから当然といえば当然だけど。


 以上、『その歴史10000年。偉大なる文明武侠気功文化圏』より。お店巡りとかあまりしてないので偉大さがまだピンとこない。人多いなー!というのはわかったけど。


「レイさま、こちらへどうぞ」


「はい。」


 時間ですね、案内されたところに向かうと、そこには


 鍼灸治療されているおじいちゃんが。この方がチェイ・チェイさんかな


「はじめまして、レイと申します。」


「おーワイがチェイ・チェイじゃがチョット待ってくれ、鍼灸がもうすぐ終わるでの。はーきもちええ」


「はい。」


 直視するのも何なので本を見る許可をもらって、本を読んでいたよ。『これでわかる!いちばんやさしい気功の仕組み』。ふーん。


「あーよかった。どっこいしょ。うふふんうふふん。それで、改めて自己紹介するが私がチェイ・チェイじゃ、チェイと呼んどくれ。美人さんからチェイって呼ばれたら恥ずかしくて舞い上がっちゃうのう、デレデレ」


「あ、はい。チェイさん。えっt「おほー!素敵な響きー!」…… 紹介状は読んでいただけましたでしょうか」


「おうとも。ワンちゃんからの手紙によると、体内の魔導経路がボロボロらしいな、一つ診てしんぜよう。恥ずかしいだろうけど全身を揉むという形で見るからの。お、お、お、おっぱいも揉むが本当に必要なことなので許してけろ」


「全部『見る』んですか!?」


「最初だけはどうしても。やっぱやめとく?」


「いえ、耐えきります。」(神注:忍耐スキルにボーナス!)


 というわけで揉まれ始めたんですが


 気持ちよすぎてだめえええええ


 あはー!おほー!いやー!そこはだめー!など、あらぬ声を出しまくりながら2時間位揉まれてました。おっぱいがどうのこうのとか、もはやどうでも良かった。

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