第22話それにしても『戦争』はきつい


 どん、本当にどんってぶつかる音が聞こえた。もちろん連続で。


 両軍が行った突撃は両軍引き分け。そして剣戟の音、鈍器を盾で鎧で防御する鈍い音が聞こえてくる。


 私とワング君は最左翼に廻って横から狙撃を続けていく。前線に遠距離を打ち込む馬鹿はいないけれど、少し後ろには控えている兵士やオルクがいるのでそれを狙うのだ。私も少ないMPを駆使して空間圧縮砲弾ディメンションコンプレスショットを撃ち込んでいく。私の切り札をもう撃ち込むなんて、最初からクライマックスだ!


 かれこれ15分位押し合いへし合いを続けているんだけどどちらに天秤が傾くという感じはしない。首都を守る練度の高い兵士が集まっているといっても、腐っても400体のオルクだからな……。


「レイ、魔導銃は撃ち尽くした。これから前線に出張ってくるがレイはどうする?」


「当たり前だけどついていくよ。この剣で叩き切ってやる!」


 私とワング君の突撃が始まった。




 突撃と言っても本当の突撃じゃない、突っ込んで戦線を維持するだけ。踏ん張っていれば(最初のゴブリンスタンピードのときのように)籠城している街からの援軍が来て挟み込む事ができる、そうワング君が言ってた。


「レイ、緊張しすぎだ!足元掬われるぞ!」


「わかってるよ!」


 はいもう緊張しませーん、いつっもの口調に戻りまーす。


 なんて出来ない。はっきり言って怖い。おかしいな、最初の討伐のときは楽な気持ちだったのに。これが戦争ってやつなんだろうか。


 リーチでは負けてるけど素早さで圧倒的に勝っているので、1VS1に持ち込みオーブをぶち当てて作った隙に懐に潜り込んで腹を掻っ捌かっさばいたり、背後から奇襲して首を掻き切ったりして屠った。

 5体倒したかな。その頃になってオルクのほうが崩れ始めた。イケるかな?そう思ったその時


 GUOHHHHHHHHH!!


 ものすごい雄叫びが戦場に鳴り響いた。さっきちょっと浮足立っていたオルクはそれが嘘だったかのように急激に動きが良くなり、逆に私達を圧倒し始めた。なんだ?魔法でもかかったのか?


「上位種がムチ叩いたな、一種の魔法だ、発奮はっぷんさせて戦闘能力を向上させる。しのげば勝てると思うがどうかな」


「じゃあしのごう!」


「周りを見ろよ、冒険者集団が浮足立ってるぞー。崩れるかもな。」


「なんで籠城してる都市の救援が来ないんだろう!空間圧縮炸裂砲ディメンションコンプレスブラスト!」

 ポーショングビー


「飛ばしすぎだ!多分反対側とかにまだオルクがいるんだろう、それで出られないんだろうな」


「え!?それじゃ勝てなくない!?」


「やってみないとわからん。」


 なんとかかんとかしのぎきれて、雄叫びの効果がなくなった辺で副作用の疲労がオルクに発生。兵士が横隊を3列から2列に変更して広く横に伸ばしたこともあって、オルクを半包囲できた。

 こっちの勝利がほぼ確定。ただ、私達の近くにいた冒険者数グループは逃げちゃってたけどね。私達はよく持ちこたえたなって所みたい。


 戦闘開始から1時間位経ったのかな。こちらにもかなりの疲労が出てきてるってところで殲滅が完了。逃げ出せたオルクはごく少数しかいなかったそう。上位種は最精鋭の兵士が討ち取ったそうです。英雄はチート勇者じゃなくて兵士にあり。


「勝どきをあげよー!」


 お、拡声魔法メガホンだ。あるならもっと指揮してくれよ……。


 うおおおーー!


 勝どきを上げると心が高揚するのか自然と疲れが引いていった。


「勝った?勝った?」


「籠城兵と合流できれば勝ちだろうな。」


 そういえばまだ合流できてないぞ、引っ込み思案だなあ☆


 合流は出来ていないけれど殲滅できてかなり気が楽になったので、後方においてきたリュックサックなどをピックアップしてから意気揚々と衛星都市へ。


 衛星とはいっても1万都市。全員が壁の中に逃げられるとはいえ壁の外にある住宅は逃げられない。破壊された住宅や建設物を眺めながら外門に。門を開けてヒヤシンス。開いた開いた。


 冒険者は外門入ってすぐの広場で待機という指示が出たのでおとなしくそこで待機。ご飯食べるとお腹刺されたときに胃の内容物のせいで治療が難しくなるから今日食べてなかったんだよね。ささっと食べようかな。


「今日はもう戦闘ねえだろうから大丈夫だとは思うが、熱源どうするんだ?」


「そこら辺の家にあるコンロを借りようかと……」


盗人ぬすっとかお前。」


 だめかー。




 さて、どうやら兵士が合流できたようです。なので我々冒険者はギルドに行って報告して解散という指示が出たので解散しましょう。



 勝った!!



「報告して来たよー2人だったので20金貨だって。スンケイで手形がもらえるみたい。10金貨で分け合おうね。スタンピード処理だから単価が低いね」


「おう、ありがとよ。スタンピードはしょうがねえからな。それで、武具の損耗はどうだ?」


「当たらなかったから防具は無傷だけど、無理に受け流したのがあったから剣が曲がっちゃったね。直してもらわないと」


「どうせ買い換えるんだろ、金持ちめ。」


 軽口を叩き合いながら受付に仕事があるかきいたところ、兵士がオルクを蹴散らした後の追撃戦があるということでこれに参加。逃げてるオルクを始末するだけのお仕事。経験値とお金頂いてきました。


 いやー、それにしても『戦争』はきついっすわ。






 レイ 無属性魔法剣士兼オーブ使い


 Lv20

 HP170

 MP60

 STR82

 DEX115 

 VIT70

 INT84 (魔力としての)

 WIL80

 CHA48


 スキル

 オーブ使いLv8 短槍使いLv4 剣使いLv7


 無属性魔法Lv7 魔力転換Lv3 生活魔法 上級生活魔法(一部) 魔力操作Lv3


 言語学Lv5 魔導学Lv0 薬草学Lv7 鉱物学Lv1 交渉Lv2 知識Lv5 世界標準語 ペラペラなサガット語とブキョー語


 睡眠耐性Lv5 疲労耐性Lv5 空腹耐性Lv1 悪臭耐性Lv3 暗視Lv4 歩行力Lv5 根性Lv4 忍耐Lv2 忍び足Lv2 ダッシュLv3 スタミナLv3 行軍Lv1


 罠解除Lv1 解体作業Lv4 積載増加Lv5 肉体強化Lv5(ステ全てに+10)  


 お狐第六感Lv5 お狐耳センサーLv5 お狐鼻センサーLv4 お狐の目Lv3 お狐動体視力Lv4 お狐の疾走Lv6 お狐バランス感覚Lv3


 採取術Lv9 狩猟術Lv3


 めくりLv1 しがみつきLv2 急所狙いLv2 受け流しLv0 バランス感覚Lv3


 ユニーク(カード表示不可能)

 お狐族 お狐の身体 お狐の機智 毎日少しの努力が出来る子


 装備

 高級なワンピース E魔法使いの黒いローブ  Eバデッドアーマー Eブリガンティン防具一式 Eドワーフ鋼のショートソード E止め刺し用ナイフ(受け流し用逆手持ち)

 リュックサック マジックポーチ  質の良い野営セット 冒険装備一式



 ワング Lv25魔導銃兼棒術士以外は教えてくれなかった…… STRとVIT、WIL、INTにMPが高いんじゃなかろうか。え、完璧やん。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る