第19話ニカクダンジョン




「おや、君はワング君じゃないか。キグウダネ」


「奇遇じゃねえよどう考えても。レイも召集だろ」


「まぁね。ワング君ほどじゃないけど私だってある程度Lvあるし。スタンピードになりそうだからニカクのダンジョンのモンスター間引きとか、私にお似合いじゃない」


「狩猟のほうがお似合いだと思うけどな。ま、モンスターは動物とは行動が違うから気をつけてやろうな」


「うん、うん?一緒に組むの?」


「のほうが安全だろ、ニカクはオルク主体だから死人が出るところだぞ。下心なく言うが、組んだほうが良い」


「いつもは下心あるわけかコンチク。」


 というわけで即席パーティを組んで行動することに。


 ワング君は何を武器にするかというと、銃です、銃。魔導銃。魔法で導く銃。弾丸は鉛の塊。ダンジョンに向かう前に武器の見せ合いをしましたが、魔法弾野郎を思い起こすね!コンチク!……接近されたら棒でぶん殴る形。どちらもかなり威力があって頼もしく感じました。


「俺が先に撃つから、撃ちこぼしをオーブで止めるか、剣で処理してくれ。ニカクオルクは鈍いが力がある。ニカクなら棍棒使いしかいない。間違って打撃を受けるときは装甲が分厚いところで受け止めてから力を受け流せよ」


「そんな器用な芸当ができるかい!」


 こんなやり取りをしながらダンジョンに向かいました。討伐隊は現地集合。馬車で2日程先にある衛星都市から、さらに1日馬車に乗ったところにある集落の、ちょっと先。ちょっとした台地の途中にくり抜いたような入り口の洞窟があって、そこがニカクダンジョンです。


「ついたー、それでオークって、男性のオークの場合身長180cm体重約95kgくらいの人型生物で、立派な筋肉が特徴。肌の色は様々だが緑が多く、赤い目が共通点。部族性であり様々な文化を持つが、共通して粗暴な文化である。トゥルーヒューマンとの交雑を好み、ハーフオークが群れの指導者となることが多い。って『デミ・ヒューマン大図鑑』に書いてあったんだけどダンジョンのオークはそういうやつじゃないの?」


「それはオークだ、俺たちが駆逐するのは、オ、ル、ク!」


「あっうん、し、知ってた。あはははは」


「大丈夫かよ……。オルクは150cmくらいの人型生物だがひどく醜い顔をしている。肌の色は灰色。野蛮な文化を持ち粗末な武具を装備していることが多いが、ニカクに関してはそういうやつじゃない。半裸の姿に棍棒を持って群れている。文化は持っていなくてダンジョン内部にいるか溢れ出てきて周辺を略奪するだけだ」


「ほーん、オークさん大激怒だねそのダンジョン」


「オ!ル!ク!まぁオークは迫害されてるけどな。」



 今回集まったのは15名だったかな。冒険者と傭兵の集まりだそう。この国の兵隊はモンスター相手というか人相手なので、こういうのにはあまり向いてないみたい。

 傭兵は何でも倒す系の傭兵が、都市からの負担金とか補助金みたいな感じで雇われて派遣されるんだって。受付のおにーさんが言ってた。いつもと違ってリスクがあるから細かく教えてもらったよ。


「もうお集まりいただきましたかね。それではご自由に処理をしてください。目標討伐数は100ですので、よろしくおねがいします。」

 どっかの役所の担当者さんらしいですが、つれない担当者だなあ。


 さあてやりますか。皆さん続々とダンジョンの中に入っていきます。割と中年が多いかなーLvありそうだし期待しておこう。


「そういえばダンジョンに入るの私初めてだわ。ダンジョンモンスターってなにか違いってあるの?」


「おいおいまじかよ。通常、ダンジョンの外と中でモンスターの行動に違いはないが、ニカクオルクは特段知能が低くて力が強い。そして魔石が体内にあるから拾ってくれ。鼻の奥、目の下あたりだ。」


「ぐえー鼻をゴリゴリするのか」


 そんな事言ってると外から野次が。


「おいおいカップルでデートに来るところじゃねーぞここは。誰だ選んだやつ。」


「落ち着け、ただの数合わせだろ。」


「数合わせが死ぬのは構わんが、それで俺らにしわ寄せが来るのは嫌だろ、ふざけんなよ」


 お、こいつらディメ略撃たれたいんですかな?おっおっお?


「落ち着け、切れてるのが丸わかりだ」


「なんで!?」


「尻尾が逆立ってる」


「ぴゃー」


 え、えーと、ダンジョンの中はフロアと通路でつながっているタイプですね。構成は岩石。松明が点々と灯されているんですが、これはダンジョンが作っている松明なんだそうです。ほへー。

 不思議なことにダンジョンの中が毎回変化する、とかそういうのじゃないのでマッピングは不要、地図をもらってあります。最初は15名揃ってダンジョンの中を移動することになりました。


 内部に侵入して最初のフロア。

 うおー、いるいる。10体くらい。誰が突っ込むんでしょうこれ。あ、魔法と弓の遠距離で削るみたいですね。ワング君も射撃体勢に入ってます。ほー膝立ちで撃つんだ。


 ドッカーン!


 おおお、強い炎系魔法使いがいたらしく、でかい火の玉が飛んでいって爆発しました。最初の部屋がいきなり火の海になってファンタスティック☆

 半分くらい死んで、残りは形勢不利と悟ったのか引いていきます、けど遠距離勢が追撃していきますねー逃げ切れないんじゃないかな。


 DOM!!


 うお、ワングくんの魔導銃が今、火を吹きました。頭部に命中したんですが、頭破裂しましたね……オルクなんだけどね。魔石が転がって光ってるわ。


「ワング君すごいねー」


「気を引き締めろ。次を狙うぞ」


 シャカシャカ再装填してたらオルクが大体消えちゃってました。もっと再装填が早いと楽なのにね。


 私は逃げ切れなかったオルクを追いかけてしがみつき、止めナイフで首を切り裂いて処分。

 今の所余裕がある。先制攻撃が成功したからだけどね。


「おーし魔石何個拾ったか言ってくれ。……7個か、いい感じだな。まあこの火力なら分散しても余裕だろ。連携も関わってくるだろうしここからは各自行動といこうじゃないか」


 ベテランの傭兵さんがそう仕切って、各自バラバラに動くことに。まぁ確かに連携するなら恒久パーティでやったほうが良い。私達は臨時ですが。


「じゃあ俺たちは時計回りに部屋を回っていくぞ、左手の法則だ」


「左手の法則?」


「必ず左手が壁に触れるように廻っていく移動方法だ。何もなければ外側を一周できるし、途中で帰るときは右手が必ず壁に触れていれば帰ることが出来る。乱戦になった時の後、しっかりと方向を確かめないと効果が無いので気をつけろよ」


「ほー頭いい」


「地図を使うにしても現在地の確認が取れないと意味がないからそれも注意だ。太陽や星が存在しないからな」


「あ、私の直感はスキルレベルであるから信じてもらってもいいよ」


「それは良いな。」


 ということで左手左手にそってオルクを駆逐開始。魔導銃を主軸にしてオーブで足止め、接近されたら近接に切り替えでかなり安定してます。ある程度再装填のやり方を見てからは私も手伝い始めました、器用なので(どやー


 安全をキープしながら次々と駆逐し、なんと15体も討伐。この調子なら大丈夫かな?あれ、他のフロアと連結するポイントで


 人が倒れてる。


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